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プロローグ
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いつもと変わらない朝。

しかし今日の水沢家はいつもとは違っていた。

「あ、依紅(イク)。お砂糖とってくれる?」
「はい、お母さん」

キッチンに立つのは依紅と母親の恵那(エナ)

「父さん、はい、新聞」
「お、ありがとう。蒼依(アオイ)」

隣のリビングでは蒼依が父親の修吾(シュウゴ)の姿が
ある。

そう。

両親の帰宅で、7ヵ月ぶりの家族団欒の姿が
そこにあったのだ。

「何か〜しばらく会わない内に腕上がったわね?
 依紅」
「そう?料理は当番制だからずっとやってたわけ
 じゃないんだけどね」
「当番制って、3人で?」

妙に目を輝かせる母親の考えている事が分かった
蒼依は、ため息をつきながら答える。

「そ。だから、母さんのお楽しみは明日まで
 お・あ・ず・け!」
「え〜〜明日〜」

あからさまに肩を落とす恵那の姿は、口にせずも
妃奈希と親子らしい事がしたくてしょうがない、
と語っている。しかし・・・

「まぁまぁ…恵那。楽しみというものは時が
 経てば経つほど気持ちが増すだろう?」

修吾のそんなセリフに、恵那は「そうね」と
納得すると、再び手を動かしはじめた。

顔を見合わせた蒼依と修吾は、
どちらからともなく笑う。

「そういえば、何で昨日戻れたの?」
「予定では今月末って言ってたじゃない」

二人の疑問に恵那はきっぱりと言う。

「驚かせるために決まってるじゃない」

蒼依と依紅は、本日何度目になるか分からない
ため息を吐いた。



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