真実
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屋上のフェンスに手をかけ美夏はうなだれた。

将貴の事だけでも気持ちは沈んでいる。


それに輪をかけたのは

−彼 女− の存在。


(彩瀬水羽さん…。音楽科の人だったんだ…)


あの先生に侑希と結婚すると思われていた女性。


ここへ来るまでの廊下にいくつも飾られていた

パネルの中に、彼女の姿があった。


ピアノにそっと寄り添うように立つ儚げな美人。

男でなくとも守ってあげたくなるような、

そんな美人だった。


(私とは…似ても似つかない…)


気づかず通り過ぎればよかったのに、

水夏は気づいてしまった。


水夏はおもむろに薬指の指輪を外し、

空にかざす。


(あんな素敵な彼女がいたのに…)


「どうして…別れたの…?」


自分とは正反対な彼女。


「何で…私と…」


空へとのばした手が微かにふるえ、

涙が一筋こぼれた。


「結婚したの…」


水夏は指輪を落とさないように握りこみ

もう一方の手でその手を包んで胸の前で

握り締める。


「どうして…」




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