真実
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【side:水夏】
侑希と出逢ったのは
お母さんが入院した病院で、だった。
「またこんなトコにおるんか?」
病室に長くいられなかった私は顔を見ては
すぐに抜け出して、中庭や屋上で泣いていた。
彼は社長のお見舞いに来ているとかで、
名前を−秋津侑希−と言い、私がどこにいても
必ず見つけてくれた。
「どこにいたっていいでしょ」
そう素っ気なく言うと「そやな」と笑う。
でも必ず泣き止むまでそこにいてくれた。
そして、そんなやり取りが何回か続いた後、
私は何故だかしまい込んでいた胸の内を
彼に明かした。
「私、家を出たいんだ…」
「なんや?何かされとんか?」
「ううん。みんな優しい…」
「ほな、ええやん」
「…よくないから言ってんの」
今の両親は本当の両親ではなかった。
実の母の妹夫婦で、事故で亡くなった両親の
代わりに私を育ててくれている。
実の子供と分け隔てなく。
それが、水夏にとっては問題だった。
自分に向けてくれている愛情は本来はすべて
義弟(オトウト)に向けられるはずのもの。
彼のものを自分は奪っている。
そんな罪悪感が終始水夏を責めていた。
そして今回の入院。原因は自分にあった。
だから…これ以上迷惑をかけないためにも、
水夏は一刻も早く家をでなければいけなかった。
「子供のクセに、難しいこと考えんなや」
「子供って言うな…」
「せやけど、自分が出て行ったら
お母さん悲しむんやないん?」
「………」
それはもちろん考えた。
でも、考えは変わらなかった。
そんな私に彼は言った。
「つまり、心配させんと家出れればええワケや。
俺にエエ案があるけど、のる?」
それが、私の人生を変える提案だったのは、
言うまでもなく…。
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