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遠い昔の記憶のこと───
「あなたはだれ?」
「わしは、アルバス・ダンブルドアじゃ。わしのことは、アルバスと呼んでくれたらいい。」
「あるばす」
「早速だが、ユリ。君は新しい家族、いや親代わりの元へ行かなければならん」
「どうして?」
「ここはもう危険じゃ。お前さんは安全な家におるがよい。」
「ぱぱとままは?」
「君の両親もいずれ隠れ穴に来る。仕事が終わればだがな」
そう言ってアルバス・ダンブルドアと名乗る白い髭を生やした老人にユリは抱えられた。ダンブルドアはユリを抱えたまま、どこかに一瞬にして移動した。移動した先はオッタリー・セント・キャッチポールという村から少し外れたところだった。ダンブルドアとユリがいる場所は草がたくさん生えているが自然豊かなだった。目的地の周りには小さな庭のぼろぼろの車庫があった。そして、今日からユリが住むところは大きな石造りであちらこちらに部屋をくっつけた数階建ての家となっていた。
ダンブルドアは家のドアを"コンコン"とノックをした。すると、中から出てきたのは優しそうな女性だった。
「ごきげんよう、モリー」
「あらまあ、アルバス。相変わらずお元気そうで何よりだわ」
「アーサーはまだ戻ってきてないようじゃな」
「相変わらずマグルの物に興味津々でね。あら、そちらのお子さんはユリちゃんかしら?大きくなったわね。将来、お母さんみたいな美人になることは間違いないわね」
モリーはダンブルドアに抱えられたユリを引き取り今度は自身の腕の中で抱えた。
「モリーよ、ユリのことを頼むぞ。」
「任せてちょうだい。」
「あるばす、ばいばい」
ユリは満面の笑みでモリーに抱えられたまま手を振った。ダンブルドアはまた一瞬で消えた。ユリはモリーと一緒に部屋の中に入った。
「さあ、ユリちゃん。ユリちゃんのお部屋は同い年のロンのお部屋よ。本当は女の子同士同じ部屋にしたいけど、もう少しジニーが大きくなってからね」
ユリはモリーと一緒に階段を登って、ロンという男の子の部屋に向かった。ドアの前に来ると、モリーがノックをした。すると、中からドアが開いた。
「まま、なに?」
「ロン、紹介をするわ。この子はユリ・シルフィちゃんよ。ロンと同い年なの」
中から出てきたのは赤髪でそばかすだらけの男の子だった。どこか、少し頼りかい感じもするが...。
「ほら、ロンも挨拶しなさい」
「ぼく、ロナウド・ウィーズリー。よろしく」
「わたし、ユリ・シルフィ。よろしく、ロン」
ユリとロンはお互い微笑みあって握手を交わした。
**
「懐かしい夢...」
まだ時計の針が指しているのは午前3時─まだ窓の外を見ても真っ黒だった。ユリはダンブルドアと隠れ穴にきた日のこと、ウィーズリー家に初めてきた日のこと、ロンと出会った時のことを夢で見た。あれから何年か経ち、ユリは気づけば11歳になった。先日ホグワーツ魔法魔術学校からユリとロン宛に手紙が来たとき、凄く嬉しかったことを鮮明に覚えている。
「家でもロンと一緒にいるのに、学校も一緒だなんて...嬉しい」
ユリはいつからかロンのことが好きになっていた。もちろん、ロンは見ての通り恋愛面は特に鈍感である。だから、ユリはなかなか自分の想いが伝えれない。もちろん、ユリ自身ももっと積極的になればいいのだが、やっぱり今の関係を崩したくないのが本音。
「ロン...大好き」
誰にも分からないように呟いた。ユリは再び目を瞑り、眠りについた。
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