# 09


「んんっ、はあ、あっ!」
朝日を遮るようにカーテンは閉められ、電気もつけず薄暗い部屋の中。
四つん這いの格好で、日向は口から唾液をこぼしながら一際高く喘いだ。
「翔陽くんの好きなとこ俺が見つけたかったわ」
拗ねたような口振りで、すでに3本挿入された侑の指が前立腺を引っ掻く。
ぐちぐちと、時折ローションを足しながらほぐされていく後孔が弄られれば弄られる程うずいて、触れられていないのに性器は完全に立ち上がっている。
「しつこい男は嫌われるで」
そんな侑を気にもとめず、治は日向の前にあぐらをかき、胸の突起に爪を引っ掛け嬲っている。
すでにとろけた表情の日向を、笑みを浮かべながら眺めている。

ここに来て教わった、涙が出るほどの快感を拒むことなんて日向には到底できるはずもなく、こうして今二人からの愛撫を受け入れている。
そもそも今までの人生欲に忠実に生きてきたのだ。それがバレーの欲から性的な欲に変わっただけ。
自身を納得させている合間にも、服を剥ぎ取られ、二人がかりでその気にさせられ、頭の中までとろとろになってしまった。
「日向、口あけて」
言葉少ない治の端的な命令に、素直に口を開ける。
ぱかっと空いた唇の間に、治の無骨な指が2本差し込まれた。
「えぅっ、んん、っ」
2本の指は、舌をなぞりつまみあげ、まるでそこも性感帯に作り変えるかのように愛撫する。
歯茎をぞりぞりと撫でられ、唾液が溢れた。
口の端から垂れたそれを、治の舌が掬い取る。
「指、奥までしっかり咥えて、舐めて」
「んう、んっ、ふあっ、あっ!」
言われるがまま、根本から爪の先をたどるように舐めていると、後ろからの刺激が駆け抜ける。
「二人の世界にはいらんとって、こっちも集中せな翔陽くん」
「ああっ、あっ!、まっ、やだっ!」
指が差し込まれているその入り口を、侑の舌が舐め上げた。
指の隙間に熱くて柔らかいそれが、ぐりっと差し込まれる。
喘いでその快感を逃がそうとするが、口腔内の指が邪魔をして上手く声が出なかった。
「ふぐっ、うっ」
「気持ちよさそおな顔やなあ」
どこをどう見てそんな事を言われているのか、苦しさに日向の目尻に涙が溜まり、幾度となく落ちていく。
口腔内を蹂躙していた指がいきなり抜かれて、過度に吸い込んだ酸素にむせこんだ。
「げほっ、がはっ!…はっはっ」
「そのまま口、開けとってな」
何故。そう思う間もなく。
いつの間に脱いだのか、開けた瞳の涙の向こうに治のそれが飛び込んできて、躊躇なく口の中へと突っ込まれた。
「おぐっ!…ん゛んっ!ん゛ーッ!」
「おい、あんま乱暴にすんなや」
「せやかて日向のちんこもガン勃ちやん。大丈夫やろ」
「まあそれもそうやな、ほな俺もそろそろ挿れんで翔陽くん」
頭上で交わされる会話についていくことなどできるはずもない。
口腔内を圧迫する指とは全然違う質量に、強まる吐き気をこらえるので精一杯だった。
ふうふうと、鼻で息をする日向の後孔に熱いモノがひたりと当てられる。
待ってと声に出すことさえできず、無慈悲にそれは体を貫くように挿入された。
「ぐっーーーッ!」
「あぁっ、めっちゃきっつう。…昨日よりぎゅうぎゅうやねんけど、感じすぎやろ翔陽くん」
ため息のような吐息を漏らして、侑が恍惚の表情で腰を打ち付ける。
侑の下生えが尻に当たる感覚。大きなそれが全て埋め込まれた事を如実に表していて、体が慄いた。
「日向の口ん中あったかくて気持ちええわ。もっとべろ動かして、舐めて」
口の中も好き勝手に使われて、上顎を性器でこすられる。
もう何がなんだかわからず、頭はどんどん霞がかっていく。
それなのに、自分のそれは萎えていない。
萎えるどころか腹に付く勢いで反り返っている。
激しく後ろを穿つ侑のそれも、喉の奥を犯す治のそれも、滲む視界に時折入る治の表情も、耳を愛撫される感覚に陥る侑の声も、全てが快感となって日向を襲った。
「ん゛んんん、あ゛っ!」
イきたい、声に出さずとも、ぼろぼろ溢れる涙とその顔で治が察する。
「日向イきそうやで侑」
「ン、ほんなら」
あともう少し、前立腺をあと少し擦ってもらえたらイけたそのタイミングで侑の腰がぴたりと止まった。
続いて治の性器もずるりと抜かれる。
「がはっ!けほ、…っ」
俯いたその視線の先に、自分の性器からたりたらと滴り落ちる先走りが見えた。
「な、んで…?も、イきたっ」
どうしていきなり動きを止めたのか、分からず恥ずかしげもなく腰をふって催促するが、侑は縁まで引き抜き動かない。
出したくて、楽になりたくて、涙がとめどなくこぼれ落ちる。
「なあ、翔陽くん。昨日のあれ、どないするか決まった?」
尻を撫でながら、優しい声音で侑が問う。
「なん、の、はなし」
息も絶え絶えに問い返すと、「いややなあ、忘れてもうたん?」と侑が笑う。
「おれらと付き合うか、ちゅう話や日向」
治に言われて、ようやく合点がいった。
しかしこんな状況で、まともな話などできるはずもない。
「いまっ、そんな、わかんっないっ」
とにかくこの行為を終わらせてからと、必死に懇願する日向を薄ら笑いで見つめる治と視線が交差して、ぞくっと背筋が寒くなる。
「簡単な話やで翔陽くん」
侑が腰は引いたまま、伸し掛かるように日向の耳元に口を寄せ囁いた。
「イきたいやろ?翔陽くん気持ちええの好きやもんな」
反対の耳には治の顔。
「そしたらな、はいて言えばええねん」
時たまゆすられ、高みから降りてこられないよう絶妙な刺激を与えられる。
ぐずぐずに溶けた体と思考で、一体何ができたと言うんだろう。
口から意味を成さない声と唾液があふれる。

「一生俺らとバレーして美味しいもん食べてえっちなことしよな」

笑う双子に挟まれて、日向は唾液を飲み込み頷いた。