『想い』


谷口に背中を押され、想いを伝えるタイミングを探していたが意外にもそれはすぐさま訪れた。
貴重なオフの日に、担任により白布は荷物運びをさせられており、静かな教室にドサリと重いそれを置く音が響いた。

ガラリ

扉の開く音で反射的に視線を向ける白布の瞳に、慌てた様子の日向が映った。

「け、けんじろー!今、いい!?」

扉付近で声を大にして白布に声をかけた日向。白布はそれに居たたまれなさを感じながら小さく頷いた。

「あ、あの!ほんとに、俺っ」

怖くなって中々上手く言葉が出ない日向は、白布の顔さえ見ることが出来ない。しばらく言葉を詰まらせる日向に、白布が疑問符を浮かべた。

「この間のことはもういいから。」

このままでは行ってしまう。
日向は一歩動いた白布に焦燥にかけられ、頭が真っ白なまま勢いよく白布の腕に手を伸ばした。

怖い。けど、勘違いされたままも、このままなのも嫌だよ。

「そのっ…谷口との、やつはっ…違うからっ!」

だから、その!


感情が込み上げて涙が溢れる。だが日向はそんなことに構っている暇などなく、ただひたすらに白布に伝えようと言葉を紡いだ。

「俺の事っ好きになって、ほしいっ、!本命がいるの知ってるけど、それでも…伝えたくて…!俺が好きなのはけんじろーだよ」

悲鳴のような、苦しそうに“鳴いた“日向に白布は目を見開く。
日向は谷口と両想いだと思っていたのに、自身に好きになって欲しいと言う。そんな状況に白布は困惑していた。
だが、白布は考えるのをやめた。否、辞めさせられた。目の前の、夕暮れでさらに派手な髪を染め上げる“好きな人“に目を奪われ、考える隙すら無くなってしまったから。

「日向、笑って。」

そしてごめん。こんなに泣かせて。

白布は日向の両頬に手を添えながら涙を拭ってやる。日向と白布の視線が交わった時、白布はふわりと優しく微笑む。

「俺も、日向が好きだよ。」