とある山中にて

 人生ってクソだ。


 ただ愛されるというだけのことが本当に難しいし、永遠なんて信じられるものじゃない。約束されたハッピーエンドなんてものは存在しないし、信じていた希望が一瞬にして崩れ去ることもある。今のように。

「……とうやくん、」

 風吹きすさぶ山中で、親友の名前を呼ぶ。

「燈矢くん、君、死んだのか」

 ビュオオオ、と木々の間を駆け抜ける冷たい風に、私の小さな呟きなど一瞬でさらわれてかき消される。誰にも届かない。地面に落ちることすらない。

 親友だった。唯一無二の、特別な。
 だから幸せを祈っていた。きっと君はハッピーエンドを迎えられると信じたかった。


 そう思って間抜けにも、十年も、君の死を知らずに生きていたのだ。


「……ばかみたい」

 頬をころりと落ちた涙は、風に熱を奪われて、顎に伝う頃には冷たくなってしまう。
 永遠などない。
 そんなこと、知っていたはずなのに。

「ほんとうに、ばかみたい」

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