うちの団長は頭がおかしい。

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うちの団長は頭がおかしい。

「やれやれ、今回も全く手応えなかったね」

そう言ってうちの団長は手に持っていた天人を手放した。

「この星にはもう強いヤツは居なさそうだ。雑魚は放っておいてさっさと切り上げるとしようか」

広い宇宙の数ある星の一つ。着陸した時はカピカピに乾燥した地割れた大地が広がっていたのに、今となっては天人たちのヌメヌメのよく分からない緑色の液でびたびたになっていた。え?語彙力ないって?だってあれなんの液か分からないんだもん。

「阿伏兎、名前、後は頼んだよ」

目の前にいたアホ毛持ちのサーモンピンクの三つ編み野郎がニッコリ笑みを浮かべながら振り返る。これがうちの団長。春雨が第七師団団長…いや、厳密に言えば春雨の提督か。

「…ヘーイ団長ォ…」
「…ハーイ団長ォ…」

私と私よりもデカい阿伏兎の間を、そのアホ毛が私たちの肩を叩きながら通り抜けた。

…通り抜けたと思ったのだが、アホ毛はあろうことかこの私のもちもちプリティなほっぺたをつねりあげた。

「いだだだだだだだっ」
「名前、さっきから独り言聞こえてるけど死にたいの?」
「滅相もございません。神様仏様神威様団長様提督様」
「最初からそうしてれば良いんだよ」

すごぶるブラックな笑みを浮かべたアホ毛団長は「じゃ」と言って艦内に戻った。私と阿伏兎は団長が遠のくと同時に溜息を吐いた。全く、こんなんじゃそろそろ本気で幸せが逃げそうだ。

「今回も派手にやってくれたな団長のヤツ」
「ギトギトのベタベタでもう最悪。私援護射撃でいい?」

目の前にジリジリと迫ってくる天人たちを見て、私は腰から傘を取り出す。

「ふざけんなこのすっとこどっこい。お前も前戦だ」
「うぇええ」
「行けェエエ野郎共!モタモタしてっと団長に殺されるぞ!!」
「「「オオオオオ!」」」
「ちぇ、私野郎じゃないんだけど」

阿伏兎の第七師団員を奮い立たせる声が響くと、船員が駆け出した。私も渋々それに連れられて駆け出す。

ったく、自分で「この星にいるボスと戦ってみたいなぁ」なんて馬鹿なことほざいて、いざボスの首取ったらあとの雑魚は部下に始末させるなんて。

やっぱりうちの団長は頭がおかしい。


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