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 ポートマフィアを含む複数の組織が大規模な抗争を起こした。そのおかげで私の両親はあっけなく死んでいった。らしい。らしい、というのも、私は2人の最後を見ておらず、詳しいことは何も知らないのだ。だから語尾に、らしい、が付くという訳だ。
 母はマフィアとして、父はマフィア専属の武器商人として、ヨコハマの地を黒く染めることに必死だったが、なにぶん下から数えた方が早い位置にみっともなく最後までしがみついていたらしく、二人が死のうと誰も何も気にしない。
 ただ、私だけが迷惑千万、住む家を失い戦争孤児(私の場合は抗争孤児と言うべきか)となり、路地裏生活を余儀なくされた。だからと言って、すぐに貧困に喘いでいたわけでもない。二人が残した財産(生き延びるための悪知恵と裏ルート、あとは拳銃などの火器類)が、それなりに私の役に立ってくれたからだ。
 しかし、やはり家がないというのは最低限の人間的な生活を保障されているわけでもないので、苦労もあった。とくに問題だったのが、私の後ろに立てば生き残れると思ったのであろうストリートチルドレンたちの対処法。子育てはおろか、恥ずかしながら、同年代とすら友好な関係を築き上げたことのない私は、ほとほと困り果てたのだ。そんな折だった。赤髪の武骨な男に出会ったのは。


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