02


 天気のいい日だった。それも、ムカつくくらい青空が広がっていて、雲一つないようなそんな日。昔からこういう天気の日は、大体にして機嫌が悪かった。というより、アルトラ・ヴァイオレンス(超暴力)な気分になるのだ。どうしてかは知らないが。そんな気分の悪い日に限って、面倒なことが起きる。

「こんな所で何してる」

 赤髪の無精髭男に声を掛けられた。お前こそこんな所で何をしているんだ、というツッコミは飲み込んでおく。こんな所に来る人間など、大体にして一般人ではないのだから。クールに行けよ、絶対にしくじるな。心の中でつぶやいた。

「ようこそ、ネバーランド(こどもの国)へ。何用かな、ミスター」

 ちょっと気取り過ぎたかも。いや、相手は私の事を何も知らないのだ。これくらいが丁度いい。

「ネバーランド……お前はピーターパンなのか?いや、そもそも……」

 そう言ってなんの警戒心もなく、不用心にも近づいてきた男の頬に向かって鉛球を一発撃ち込む。

「言ったろ、ここはネバーランド(狂気の国)だ。次はお喋りに必要ない足でも狙おうか?」

 ここに来る連中の大半が人攫いだ。もしくは、日頃の鬱憤を晴らしたいだけのアホどもか。まぁ、大体が犯罪人なのだ。だからこそ、自己防衛はしっかりしないといけない。
 我が愛しのアーミー(コルト・シングル・アーミー。45口径、装弾数6発。正式名M1873)は、今日も私の身を守るのに火を噴くってわけだ。
 ここはジャングルの世界、鏡の家、社会病質者の王国、怒りの土地であり、裏切りが日常、報復が掟、哀れみは理解されないか、忘れ去られて久しい場所だ。あるいは腰をパイプで殴られ、脇腹にナイフを突き立てられる場所だと言っていい。つまり、まったくの一人ぼっち。守ってくれる人間は誰もいない。
 疑いを抱いたら卑劣になれ。


- 2 -

*前次#


救済 トップページへ