17


 翌日はなんだかこの世の終わりかというぐらいに晴れ渡った一日だった。最終課題が行われる日の朝、セドリックはノエルとチョウがやって来るのを大広間で待っていた。昨日の今日でチョウに会うのは嫌な緊張感があった。結局、昨日のチョウの目的は読みきれないままだったし。やはりノエルもチョウも自分の知らない秘密を背負っているらしい。自分はどんなに“ともだち”になってもそこには踏みこめない。傷に踏みこまないのが友人というやつだからだ。でも、この歯がゆい気持ちだってウソには出来ない。

「セドリック、おはよう」
「おはよう、チョウ。ノエルはどうしたの?」

 チョウの隣にいつもはいるはずのノエルがいなかった。

「うん。なんだか寝過ごしたのか、談話室におりてこなくて。置き手紙がったから先に来たの」
「もしかして、気遣われてるのかな?僕たちのこと」
「それはうれしいけど、少し嫌だわ」

 恋人同士のような会話(実際に恋人同士なんだけど)に軌道修正ができたセドリックはほっとする。しかし、これから先もノエルは後ろに下がり続けるのだろうか。自分とチョウのために。だんだんと離れていくのだろうか。そのたびごとに自分は周囲の視線や圧力の重たさを感じていくのか。自分は我慢できるだろうか。全てにつぶされずにチョウを支えられるだろうか。
 今日、ノエルに会ったら身を引こうなんて考えないようにと言っておこう。セドリックは心の中のメモ帳にそのことを書きとめておく。今日のこともノエルが気をつかった結果だとしたら、常態化する前にとめないと、いよいよ元の三人の空気になんて戻せなくなる。
 バタバタと複数の足音が大広間に響いてきた。音のする方へ目をやると、校長やマクゴナガル先生、その他もろもろの教師陣がこちらへと向かってくる。

「ああ、いました!ディゴリーにチャン。ついてきなさい」

 少しやつれた顔をしてこちらを睨む。その迫力にただ頷くことしか出来なかった。

 あぁ、とても。嫌な予感がする。そして、嫌な予感というものほど当たりやすいものはない。
 チョウと目を合わせた後、セドリックは無意識にポケットの中に手を突っ込んだ。セドリックは無意識のうちに音のならない鈴を握りしめた。
 向かった先は、医務室だった。一番奥のベッドに女子生徒が一人横たわっている。眉間にシワをよせ苦い顔をした校長がゆっくりと口を開けるのを、セドリックは壁に掛けてある絵画を見るような気分で眺めていた。


- 17 -

*前次#


ともだち同盟 トップページへ