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どうして、その単語が出てくるのか、セドリックにはわからなかった。確かに『ともだち同盟』には規約がある。決して、お互いの秘密を口外しないこと、というのがそれだ。だけど、隠すものもないセドリックは意識したことがなかった。ノエルとチョウの間でも、それは同じことだと信じていた。だって、二人は手だってつないで歩いている仲じゃないか。闇に飛び込んでしまったような不安がセドリックを覆う。さっきからチョウの言葉はセドリックの常識から少しずつはずれてく。そしてセドリックをおかしな場所に運んでいく。
「ごめんなさい」
チョウは堪忍してくれというように、セドリックの前で少し頭をさ下げた。
「秘密のない女の子なんていないの。多かれ少なかれ、外には言えない事情があるの。だから、聞かなかったことにしてくれないかしら」
「うん。同盟は絶対だから」
頭を下げられれば、セドリックはかまわないと言うしかない。だって、秘密厳守は“ともだち”の条件なのだ。自分はそこから追放されたらどこに行けばいい?二人の“ともだち”でいるためなら、セドリックは黒いものでも白いと言うし、落ちるところまで落ちる。
「ありがとう。最後の課題、応援してるから」
下手なお世話のようにチョウは言った。そこでタイムアップを示すみたいに授業の鐘の音が響いた。
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