04
一言で言えば、ノエルの言葉はとても乱暴で粗野だ。それは丁寧語のビニールにくるんだところで、すぐに袋を破って外に出てきてしまう。ノエルは毒舌家だというのは三人組の最後の一人、チョウ・チャンの言葉だが、少し本質からずれてるようにセドリックは感じている。ノエルの言葉は「毒」だなんて間接的なものじゃない。突き刺して内蔵を引きずり出してすぐに死に至らしめる、そんな蛮族の祭礼だ。
「今、ものすごく不愉快なことを考えていませんでしたか?まあ、いいでしょう。ディゴリーですし。手、繋ぎましょうか」
屈託のないノエルに対し、セドリックは素直に「うん」と言えず、困った顔をする。一緒に寝転ぶのには慣れてきたけど、いくらなんでも手をつなぐのはちょっと。恋人みたいなことはできない。だって自分たちは恋人ではないのだから。顔を斜めに向けると、笑っているノエルと目が合った。
「心配は無用です。だって、私達はとても厳密な意味を持って“ともだち”なんですから」
「それはそれで、ちょっと心配じゃない?」
厳密な意味。ノエルとセドリック、そしてチョウを入れた3人は“ともだち”なのだ。友達以上に“ともだち”なのだ。
「わたしの言うことが聞けないのですか?」
慈愛に満ちたような表情でノエルは身勝手なことをのたまう。ノエルはいつもこうだ、とセドリックは聞こえるように嘆息する。ノエルはやりたいようにすべてを進めて、自分はそれに乗せられていく。そのやり口は巧妙で悪質で、自分が賛成していなかったことすらセドリックは忘れてしまう。気づけば、自分の意思で選び取ったつもりになっている。
「それじゃあ、無理矢理握ってしまいますね」
セドリックの右手はすぐにノエルの侵略を受けて陥落してしまう。もう、どうにでもなれ。セドリックは捨て鉢のような気持になる。どうせ、こんな駅、誰も来ないのだ。
ノエルの手は小さくて柔らかくて、冬を引きずってるみたいに冷たかった。手だけが生きていないようだった。あれだけ元気にはしゃいでいる人間の手がこんなに冷たいことが不思議だった。でも、最初は冷たかった手もセドリックの体温と混ざり合って、よくわかわなくなってしまう。
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