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 例のあの人の名前を軽々と口にするノエルは笑う。まるで死ぬのが素晴らしいことのように。もちろん、それを鵜呑みにしてはいけない。ノエルという生物が邪悪だからだ。どうしてスリザリンではなくレイブンクローに組分けされたのか理解できない。セドリックは反論するのをひかえた。それをノエルの屁理屈で否定されてしまったら気味が悪い。

「それに、線路ってわたしたちを引っ張るんですよ」
「どういう意味?」
「線路ってどこまでも続いているじゃないですか。本当はどこまでもつながってるわけないし、この車両だとこの線路には入れないとか電化されてないから電車は走れないとか、いろいろありますけど、なんとなくどこまでも行けちゃう気がするんですよ。たとえば向こう側の世界とか」
「それって、後付けっぽくない?」
「世の中の理屈の大半が後付けじゃないですか」

 むっとした声にセドリックは余計なことを言ったと思った。

「線路があればいろんなところに行けるのは本当ですよ。たとえば、マグルの世界と魔法の世界とか。キングズ・クロス駅で乗り換えがいりますけど。わたしたちはレールで繋がってるんです」

 なんのことかセドリックにはノエルの意図がいまいちわからなかった。どうして自分たちがレールでつながらないといけないんだ。素直にそう返答すると、ノエルは「ディゴリーにわかってもらえるなんて思ってませんよ」と口をとがらせた。

「わたしを理解できるのは私だけで充分です。それに、わたしとディゴリーの価値なんてホグズミードで売っているバタービール三杯分なんですよ」
「その生々しい数字の根拠は?」
「だいたい、こんな同盟おかしいんですよ。女二人に男一人で仲良しこよしなんて続くわけがないんです。今にわたしたちは修羅場になりますから。安心しておいてください」

 そんなことにはならないとセドリックは思う。だって自分はこの同盟維持にそれこそ命を懸けるつもりでいるし、ノエルも思わせぶりなことを言ってもセドリックに告白するつもりなんてないのだ。だから、三人は"ともだち"のまま変わらないし、変われない。そうでないとセドリックには本音をぶつけることのできる友人なんて、ノエル以外にいないのだ。チョウよりもノエルの方が本音で話せるのは、ノエルの性格によるものだろう。

「今、死んでみますか?」
「だから、死なないって。どうして、そんなに死にたがるのさ」


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