〜そして10分後〜
ややは唯世…いや王様の前に跪いていた。
これも、臣下の勤めである…。
「ゆっ、結木さんっ!頭上げて!!」
「いえ、わたくしは王様の第1臣下ですので…。1番信頼のある忠実な下僕ですので」
王様相手にややなんぞが面を上げるのは頭がたかーいのだ。
「や、ややちゃん、何かハマっちゃってない?」
「唯世、信者獲得か……?」
外野がなんか言ってるけど無視。
奴らはややを助けてくれなかった裏切り者だ。
味方に裏切られたややは、もう王様に従うしかないのだ…!
『や、ややたん!ぺぺはこんな王様認めないでちゅ。今こそ真の王であるややたんが不満のある庶民を集めて、独裁政権に鉄槌を下すでちゅ!!』
『革命…ですわね』
『お前もやれよー庶民だろ空海!今こそ正義が勝つ時なんだ!』
「俺、庶民なの!?」
ハッ、反王政派がなにか言ってるけど、耳を貸してはならない。
そうやってややを神輿(みこし)に上げて、いらなくなったらポイする気なんだな…!
知ってるぞ。この前おばさんが見てた血湧き肉躍る系のドラマでやってたし…。
「お前はお飾りなんだよ!!」って。
そんな、自由のない人生は嫌だ!!
もう、ややは王様に擦り寄るしかない!
王の庇護下に入って信頼を得て、敵対勢力から守ってもらうのだ。
『ふはは!いい下僕が手に入ったな、唯世!!』
「もう、キセキ!!これ一体どうすれば…」
「王様。何なりとご命令をどうぞ。肩をもみましょうか、紅茶を淹れましょうか」
第1臣下結木やや、どんな命令にも従いましょう。
「うああ、もうこうなったら…!!結木さん」
「はっ」
「命令です。元に戻って……王様扱いやめて」
「承知いたしました…って、えー!!つまんないーなんで!!」
ややは激しく抗議する。
せっかくこれから面白いところだったのにー。
唯世はちょっとやつれた顔になっていた。
「ぼくの…精神がもたない」
煤けた感じの背中になった。
「ぶーぶー」
『ぶーぶーでちゅ』
ぺぺちゃんと一緒にブーイングしてると、空海がややの肩をぽんぽんと叩いた。
「まあまあ、やや。そのくらいにしてやれよ、なっ?」
ぷいっ、と横を向く。
空海さっき、突然の唯世のキャラチェンジでややが困ってた時、横でゲラゲラ笑ってたの忘れたとは言わせない。
ややは怒っている。
「マカロンあげるから、ね?お願い」
なでしこが食べ物で釣ってこようとする。
む、貴様も同罪だ。
マカロンになんかつられ、つられ……
「マカロンくれるなら許すっ」
つられた。
だってアレは常軌を逸した美味しさなのだ。
「よかった…」
唯世が心底ほっとしたように呟く。
「そんなに嫌だった?」
ちょっと、不安になってややは尋ねた。
新入りの分際でふざけすぎたかもしれない。
「えっ、いや。アレは元々ぼくがいきなりキャラチェンジしちゃったせいだし…!大丈夫だよ!」
そっか。大丈夫か。
次なったらまたやろう。
「わかった〜」
「アレ、なんか今選択を間違えた気が…」
『唯世よ。王たる者、過ぎたことでくよくよするな』
キセキの厳しい指摘に唯世は「はい…」とか細く応えた。
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