3, イースター


ややがガーディアンのAチェアになってから、一週間が経過していた。

今のところ×たまも、恐ろしい宗教団体も見かけない。

いたって平和な毎日だ。

ガーディアンの仕事は地味だけどやりがいがある。

ガーディアンのみんなと戯れるのもとっても楽しい。1番学年が下だからかなにかと甘やかしてくれるし。

家に帰るのがいつもより遅くなっちゃうのが、リラに申し訳ないけど〜。



…なんて、タカをくくっていたのがいけなかったのかもしれない。

ややは今危機的状況に瀕している。


これまでの経緯を3行ほどで表してみよう。


放課後のんきに下校中
茂みガサガサ揺れるー
からの野生の×たまと遭遇

という見事なコンボが炸裂、してしまいました…。

どっどうしよう。

ふ、封印だっけ?


封印ってどうすればいいんだろう。


『おちつくでちゅ、ややたん!!取り敢えず、ぺぺとキャラチェンジするでちゅ!!』

「う、うん!」

突然のことに慌てているとぺぺちゃんの勇ましい声が飛んでくる。

おお、赤ちゃんなのになんて頼もしいの!


『チッ、×たま風情が…!舐めないでほしいでちゅ。ぺぺの戦闘力は53でちゅよ!!』


53って微妙な感じがするよ!?

その言葉に微かな不安に囚われつつもキャラチェンジをする。


『プリティ キューティ ラブベイビィ!』


ぽんっ、という効果音とともによだれかけと巨大ガラガラという装備が現れた。


まって、これどうしたら…!?

使い道が全くわからない!!


『ややたん、そのガラガラで思いっきり×たまをフルスイングしてやるでちゅ!!』

「そ、そんなことしたら壊れちゃうよ!」


『大丈夫でちゅ。本来キャラチェンジの力なんかで×たまを破壊できるわけないんでちゅ。リラたんは特殊!
普通、キャラチェンジで×たまを無理矢理破壊しようと思ったら3人くらいの力を合わせないと無理でちゅよっ』


「えっ、そうなの!?でも、×たまを殴ることと封印にどんな関係が…!?」


『×たまはある一定のダメージを負うと、長い休眠状態に入るでちゅ』


「気絶ってこと!?」

『封印(物理)って言ってほしいでちゅ!って、ややたん、来まちゅよ!』


ムリーっ、と叫びながら×たまが突っこんでくる。


丁度、ガラガラの方に…。

後はガラガラを振り下ろせばいいだけ。


それは分かってるのに、動けない。

あの日、×たまを破壊したおぞましい感触がまだ消えてないから。


『や、ややたん、早く!危ないっ!
大丈夫でちゅ、ペペは絶っ対に壊さないから、信じて!!』


「〜っ!えいっ」

ぺぺちゃんの声に意を決して、ガラガラを振り下ろすと、ゴンッという鈍い音が響く。

壊してしまったかもと思って急いでガラガラを退けると。

×たまの色が薄くなって、いや透けていた。


「え…?」

そしてどんどん薄くなって最後には消えてしまった。

どういうことかと頭を真っ白にしていると。


『ややたん、やったっちゅね!
封印成功でちゅ!』

ぺぺちゃんの喜びの声に緊張を解く。

成功してたらしい。


「ふ、封印。今のが?」

『そう!消えちゃったように見えたけど、あれは持ち主の元へ帰ったんでちゅ。持ち主の心の中でダメージを回復するんでちゅから』


「よっ、良かったぁ」

思わず腰が抜けたようにへたり、と座り込んだ。


『×たまが活動中止している間に、持ち直せるいいんでちゅけど…それはもう本人次第って奴っちゅね』


それでも兎に角、良かったと安堵していると、瞳から涙が零れ落ちた。


それを皮切りに涙が次々と溢れてくる。

あ、キャラチェンジ…したままだった。

なんか、感情が振り切れて――


「びぇええ〜〜よかったよーっ」

『びぇええ〜っ』


なぜかぺぺちゃん共々で路上で大泣きしてしまった。

ぺぺちゃんはややの感情に引きずられたのかもしれない。


人気がなかったのが幸いでした。


見られたら恥ずか死ぬ…。

いや、いっそのこと見た奴を亡き者にするしか…!


などと、物騒な考えを巡らせられるくらいに落ち着いたところで。


「オマエ、新しいガーディアンか」



タイミングを図ったように、木の上から人が降ってきた。






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