1. 二つ目のしゅごたま

夢を見た。
昔、両親が生きていたころ家族三人で暮らしていた、あの家の夢。

お母さんが庭で鼻歌を歌いながら楽しそうにガーデニングをしていて、お父さんがややを膝に乗せながら静かにその様子を見守っていた。

もうすべてが遠い、終わってしまった優しい時間。

――帰りたい。

そう願った。




悪夢を見た朝。目覚めたら、足元に妙な違和感を感じた。
あれ、昨日寝た時になんか置いたっけ?

そう思って布団をまくってみると……。

「た、たまご……?!」

そこにあったのはよくある真っ白い鶏の卵ではなく、少し大きめのたまごだった。

それには桃色の下地に、赤色のウサギが可愛らしくペイントされている。

普通こんなたまごが足元に転がっていたら、何かのおもちゃだと考えるところだろうが、残念ながらややは違う。

こんなたまごが足元に転がっていたというシチュエーションを以前にも経験しているからだ。押し寄せてくるのは強烈なデジャヴ。

ややは悲鳴のように叫んだ。

「り、リラッ、リラーー!!」

『ややちゃん、どうかしたのですか?』

するとすかさず飛んでくる手のひらサイズの人影。
サイズ以外は普通の若草色のクラシックロリータ風ワンピを着こなす女の子だ。
まったくファンタジー極まりないがこれは現実である。ややの幻覚でも妄想でもない。ちなみに俗にいう妖精さんとかではなく、詳細はややこしいので後にする。

それよりも今は目の前に現れた謎のたまごについて知るのが最優先事項だ。

「リラあああ、これ、これってもしかして……!」

動揺のままに叫ぶと、

『あら、昨日生まれた新しいしゅごたまですねぇ……彼女がなにか?』

リラはのほほんと肯定した。

「やっぱり…!二つ目の、しゅごたま…」

耳に届く自分の声は、震えていた。









目次に戻る
topへ戻る

ALICE+