4 つばさ
おばさんとおじさんの赤ちゃん。
翼くんが無事に産まれてからもう一週間が経とうとしていた。
おばさんはまだ入院していて、おじさんと何回かお見舞いに行った時に見た翼くんは、もうそれはそれは天使のごとく可愛かった。
他人のややでさえもそう思うんだから、おばさんとおじさんはさらにメロメロで、舞い上がり方は凄まじかった。
なかなか生まれなかった子供だからっていうのもあるんだろうけど。
その様子がこちら。
――だぁだぁ!
おじさん「そうだね〜。翼は可愛いでちゅね〜〜」
――びぇぇえん!!
おばさん「泣いてる姿もラブリーッ!!地上に生まれ落ちたラストエンジェル!」
この通りである。
おじさんは原型をとどめないくらいデロデロに溶かされてるし、おばさんに至っては何を言っているのかよくわからない。
そして、既に病院内では近年稀に見る親バカ夫婦として認定されていた…。
おばさんたちが名付けた「翼」という名前には、イメージしやすい「のびのびと自由に育って欲しい」という願いのほかに、「助ける、守る」という意味合いも含まれているのだという。
鳥の両翼が体の左右の支えになって飛ぶのを「助ける」ことが由来なんだそうだ。
おばさんたちは、翼くんに自由にのびのびと育って欲しくて、人を助けることのできる優しい人になって欲しいのだ。
その話を聞いたときに、自分の名前の由来を考えてみた。
「やや」
他にこの名前の子は見たことがない。
珍しい名前だね、ってよく言われる。
そして、辞書で引いてもピンとくるものが何もなかった。
そもそも、「これは」と思う意味を見つけたところで、お母さんやお父さんはもういないんだから本当の由来を確かめようがない。
一通り調べ終わった後、そのことに気づいて気落ちし、図書室を後にした。
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