――ややって、すごく悪い子かもしれない……。

放課後のガーディアン。

各委員会からの11月の報告書を眺めながら思った。

おじさんとおばさんの幸せを素直に喜べないややは、本当に嫌な子だな、なんて。

翼くんにおばさんたちを取られちゃうなんて思ってるのだ。

そんなの、お門違いの妬みだ。

分かってる。

だって、おばさんたちはややの家族じゃない。

ただの親戚のためにここまで尽くしてくれたことに感謝こそすれ、赤ちゃんが生まれたことを妬むだなんてとんでもない。

すごく恩知らずだ。


『ややたん…』


ぺぺちゃんがとても心配そうに声をかけてくる。

よっぽど暗い顔でもしてたのだろうか。

だめだ。こんな風に落ち込んでたって現状が変わるわけじゃない。

みんなに心配かけるだけだ。

今はとりあえずそのことは忘れよう。

報告書の整理を頑張らなきゃ、って……。


「わっ!?」


突然目の前が暗くなった。

電気が落ちたとかそういうんじゃない。

誰かに目を塞がれてるんだ。


「だーれだ?」


ちょっと笑いを含んだ、この声は。


「空海っ!何するの!」


抗議の声を上げると、悪い悪いなんて言って手を離された。そして爽やかな笑みで一言。


「いやー書類整理も飽きてきただろ!どうだ走り込みにでも行くか!」


はあ!?

ややは飽きてないし!

万が一飽きていたとしても走り込みになんか行きたくない。

もう冬だし寒いし、今日は今年1番の寒さなんだって朝のニュースで言ってた。

けど空海は小脇にややを抱えて瞬く間にロイヤルガーデンの入り口に連行していく。


「そ、相馬くーん!?」

「あらあら」


向こうから唯世となでしこの声が聞こえる。

見てないで止めてっ。


『待つでちゅ!!』

と、そこにペペちゃんが空海とややを追いかけてきた。しかし。


『ややたんっ、ペペがすぐにみぎゃぁっ!?』


『庶民たちよ!第35回しゅごキャラ会議をはじめる。僕に続け!』


途中でキセキに捕まえられた。


『や、やめるでちゅ、ややたんがぁあっ!』

『会議なんてやだー!助けろ空海!!』

『きゃー』


しゅごキャラたちはみんな何処かへ消えた。

……うん。ぺぺちゃんはぺぺちゃんで大変な状況なので助けは望めない。健闘を祈る。








「ちょ、空海!ほんとにやめてよ〜っ!」


逃れようとジタバタとするが体格差のせいでビクともしない。

膨れっ面になるややに空海は不敵に笑った。


「なんだぁ?俺様に負けるのが怖いってのか〜?
そうだよなー、ややはお子ちゃまだからかけっこ苦手なんだろ!」


ムカッ。なにそれ!

そんな安い挑発で…ややが乗せられると思っているのがムカつく!


「ま〜しょうがないかぁ。
俺も鬼じゃねえから、弱いものいじめはしない主義なんだ。今日は諦めてやろーかなー?」


絶対泣かせる。

決意したややは、空海をキッと睨みつけた。


「〜〜っ、ややが勝ったら、お菓子おごって貰うからね!!」


脅したにもかかわらず空海の目が輝く。


「おっ、いいぜ。校内三周するか!」

三周!?多い…けど!!

ここで引くわけにはいかない!

「もおおお!!こてんぱんにしてやるっ!」


あ。間違えた。

つい勢いで乗ってしまった…!












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