「今期の委員会の報告では――」

はじまったガーディアン総会。

キャラチェンジした唯世が堂々と話している後ろで手持ち無沙汰だったややは、さっきの子を探す。

四年生の席は、あっちか。

……あ、いた。

特徴的な明るいピンクの髪。

すぐにわかる。

頭頂部がこっちに真っ直ぐ見えるってことは俯いてるってことだよね。

つまんなすぎて寝ちゃったかな?

まあ確かに委員会の報告とか関係ない人にはどうでもいいことかもしれないけどさ。

でもこの報告を作るにもワードやらプリンタやらいろいろ駆使して頑張るんだよー。

そういう努力の成果なので、出来れば聞いて欲しいです。

まあ、ややもガーディアン入る前は普通に寝てたから人のことをとやかく言う権利はないけど。

……ガーディアンに入ってから、すごく事務仕事がうまくなった気がするなあ。

ややが哀愁を漂わせている間にも総会は進んでいく。


「何か意見がある人はいますか?」

丁度、唯世が制服に関するアンケート調査を議題として意見を求めた時だった。

「ハイッ」

誰かが手を挙げた。

元気がいいなあ。

何気なしにそちらを向いて。

ややは卒倒しそうになった。

手を挙げていたのは、渦中の日奈森あむちゃん。

クールな彼女らしくない、眩しい笑顔をその顔に浮かべていた。

すごく嫌な予感がする。

良く見ると頭の×のピンがハート型になってる
し。これって。


「ハイ!!貴方が好きです、王子さまっ!!」


あむちゃんがそう言った瞬間、空気が凍りついた。

ざわざわとどよめきが広がっていく。


「…な、んだと」


ややは思わず呻き声を上げた。

やばい、惨劇が起きた。

これはひどい。


大勢の前で告白とか、我に返った後で死にたくなるよ。


ど、どうにかうまくフォローする手立ては…っ



などと動揺しまくっていたら。


視界の隅ですっ、と唯世がマイクを持ち直した。


流石はK。

きっといい感じに収めてくれ……


「議題に関係のない話題は慎んでください。
それと……ごめんなさい。僕には今好きな人がいるので…」


なかった!?

唯世ええええっ!?


叫びそうになったのを寸手で堪える。

ちょっと待てどうしてそうなった。

公衆の面前で他の女の子を盾にフるとはなんて惨い仕打ちを…!


泣きっ面に蜂!

死体を蹴るような所業だよ!!


思わず裏拳を食らわせてやろうとして、何かが引っかかって思いとどまった。


いや、待てよ。


優しい唯世がこんなこっぴどい振り方するのは変だ。

そして総会中だから内気な唯世はきっとキャラチェンしてる…?


ややは恐ろしい事実に行き着いた。



……は、犯人はキセキだったんだ。

そうだよ、そうとしか思えない。

おお、なんて事をしてくれちゃったんだ。

世界征服する前にキミは唯世からデリカシーとかその他もろもろをもっと学ぶべきだよ!


可哀想にあむちゃんは、キャラチェンして勢い余って告白して、しかもその相手もキャラチェンしてたせいでこっぴどく振られちゃったのか。


きっと……今日が今年最凶に運が悪い日だったんだね。


遠い目になって、放心していると。


正気を取り戻したあむちゃんが、顔を真っ赤にして体育館から走り去ってしまった。


「ちょ、キミ…っ!ごめん、みんなっ」


キャラチェンの解けた唯世も後を追うように、この場を去っていく。


え、ごめんて。


まって今、唯世に抜けられたら総会どうすんの!?

慌てている間に、唯世はいなくなった。


残されたのは、未だ騒めく生徒たちと、青い顔をしている教職員の方々。

……ここで停滞させたら、先生方からのお説教は必至。

喉の奥が引きつる。


くっ、仕方ない…!!


隣に立っていたなでしこと空海の服の裾をそっとひっぱる。

2人はこっちを向いた。

「な、なでしこ、空海。
制服のアンケートのところの資料はややが作ったから内容は大体わかってる。
ここは代わりにややがやるから、2人は、自分が担当したところやってもらっていい?」

小声でそう告げると、2人が頷く。


「わかったわ」

「まかせろ」


よし…。

意を決して、一歩前に出た。

沢山の視線がややを射抜く。

うう、ガーディアンになってから、何回かこういう機会があったけど、まだちょっと慣れないかも。


『ややたん。ふれーふれー、でちゅ!」


そんなややの心情を察してか、耳元で励ましてくれるぺぺちゃんにちょっと勇気をもらって。


「総会を中断させてしまってすみません。
Kは、所用により抜けてしまったので、ここからはAチェア結木ややが代理で進行させて頂きます」










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