03

程なくして、セブミさんがやってきた。
荷物は運び終わったようで、彼の手にはいつもの紙袋しか握られていない。

「そういえば、潜入なら真っ先にセブミさんの方が適任そうなんですけど…なんで私なんですか?」

ふとよぎった疑問を野々村係長に投げかける。


「本当はセブミくんに頼んだんだけどねぇ、潜入捜査って設定豊富じゃない?だから覚えることが多いのなんのって。けど資料として手元に置いておくことはできないから、すぐに覚えられて証拠も残らない苗字くんが適任じゃないかってセブミ君が言うもんだからね…僕としても今回の潜入はうちの戦力を削らずに上からも文句を言われず平和的な解決をしたいなあ…って考えたら苗字さんしかいないかなって。だってここ4人しかいないし」

「つまり一番使えないお前が行けよってことですねわかりました。」
いやお前が行けよ、って思ったけど70歳に対してそんなこと言えない。


まあいい、私はこの餃子臭い職場から離れることができるのだ…腹をくくって潜入するしかない…






「ちなみに苗字の潜入先ってどこっすか?」
「正式名称が分からないんだけど、上の人たちは黒の組織って呼んでたよ」
「名前ダサすぎ!ウケる!苗字ガンバ(笑)」
「本人聞いてないぞ」






こうして彼女は職場の異臭というストレスから解放された。
―――別のストレスにより悩まされることになるのは近い話