「……濃いですね。最近セックスをしていませんでしたが……ご自分でスペルマ、出されていなかったのですか?」

「す、スペルマって、言わないで下さい……」

 聞きなれない単語に耳が熱くなった。

 ふっ、と吐息の混ざった笑い声を出されて恥ずかしさが増す。

 トイレの小窓ががたたっと音を立てた。外は風が強いようだ。

「さて、上代先生? 次はどうするか、わかりますよね?」

 立ち上がった竹川先生より顎で個室のドアを差され、のどが鳴る。

「そこに肩をついて?」

 すでに一度吐き出したというのに、更なる快楽の予感にペニスがひくりと跳ねた。

 言われた通り、肩と頬をドアへつけて、そこで体重を支えながら腰を落し、臀部を後ろに突き出す。

「ああ、可愛く蠢いていますね、ここ」

 尻穴を指でそっと撫でられて、わずかに膝が揺れてしまった。

「どう弄って欲しいですか?」

 隠微な響きを含んだ声に期待が高まる。

「いつもみたいに……」

「激しく?」

 うなずくと、背後からのどで笑う声が聞こえてきた。

 唐突に尻の間へ冷たい液体を流し込まれ、その感覚に背中が跳ね上がる。

 ああ、ああ。鳥肌が。後ろ首から、どんどん全身へと広がってゆく。早く欲しい。我慢できない。こんな場所で。アンモニアの匂いが漂ってくる、不衛生で、誰かが現れるかもしれないこの、トイレで……何という背徳感。

 こんなことは今すぐ止めないと。でも、流されてしまって――いや、違う。

 違う。認めなくては。僕は、すごく興奮している。

「中、指を入れますよ?」

「い、言わないでください」

 恥ずかしいのともどかしいので、身体の熱がどんどん上がる。

 襞を広げるようにして中に入ってきた指が、くにくにと、何度も出入りしてきた。

「上代先生? そんなに、締め付けないで?」

 優しげな甘い声に胸がきゅんとした。

 竹川先生はいつも、こうしていけないセックスへと僕を誘ってくる。駄目なのに。教師という立場上、こんなことは止めなければならないのに。

 ゲイであること自体、ばれてはならない。保護者に顔向けが出来ないし、もし知られてしまったら教師を辞めなくてはならなくなるだろう。そして、竹川先生とはもうこうして触れ合うことが出来なくなるかもしれない。それなのに、いけないのに、ああっ、どうしよう。気持ちいい……

「中に入っている指に、肉が絡んできますね。そんなにいいですか?」

 胸がいっぱいで言葉にならないので三度、うなずく。

 竹川先生が、背中に覆いかぶさってきた。尻穴に、あてがわれる、肉の感触。

「入れて欲しい?」

「い、れてほしっ、です……おねがっ、い……」

 耳の後ろへキスをされた。

 ごそごそと動く音が聞こえてくる。きっとコンドームを装着しているのだろう。


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