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「−炎の呼吸、壱ノ型 不知火」
「フハハハ、俺はツイテてる!お前を殺せば、十二鬼月になれるんだからナァ〜?」

"なれる"って事はこの鬼は十二鬼月じゃない。でも、この異臭。相当の数の人間を喰べている証拠だ。

「ン〜?お前、美味そうだナァ〜?」
「この娘に手出しする事は許さない」
「フンッ!なら、守ってみろよ?柱ァ」

煉獄さんの方を向いていたかと思えば一瞬にして消えたのだ。姿は見えないが、近くにいる。上の方から異臭がする。

「竈門少女!」
「−霞の呼吸、壱ノ型 垂天遠霞」
「ギャャャャアァア」

匂いのする上に向けて技を放つと当たったようで、物凄い異臭と共に叫び声が聞こえた。そして、休む暇を与えず煉獄さんが技を放ち鬼の頸を斬った。

「大丈夫か、竈門少女」
「はい」
「うむ。上手く全集中の呼吸を使えているようだな。後は常中のみだ」
「え?あ、はい」
「上にいると何故分かったのだ」
「私、鼻が良いので」
「そうか」

鬼が消えていくのを確認して私達はこの町を離れ、継子の報告をしに本部へ向かう事になった。鬼殺隊の本部に行き、お館様という方に了承を得ないと継子にはなれないらしい。

「煉獄さん」
「どうした」
「あの、私に炎の呼吸を使えるのでしょうか」
「分からん!」
「うぇ?!」
「だが、竈門少女。お前の刀は赤かった。見込みはある!」
「…頑張ります!」
「うむ!」

本部に着くまでの道中で煉獄さんは信じられない量の食事を食べる事が分かった。一口食べる毎に美味いと言い、あっという間に平げるのだ。下の子達もたくさん食べていたけど、そんなの比じゃない量で毎回驚いてしまう。

「竈門少女!たくさん食べろ!」
「ハイ!」
「全集中の呼吸が止まってるぞ」
「うぅ、」
「集中するんだ」
「ハイ!」

全集中常中が出来るようになった頃、私達は本部に到着した。とても大きな御屋敷で何処からともなくお花の良い香りがする。

「お館様」
「うん、一露葉を継子にだね?」
「はい」
「杏寿郎。理由を聞いても?」
「先ず、日輪刀が我が煉獄家と同じく赤いという事。それと、炎の呼吸を使い熟す素質があるのです!」
「杏寿郎がそこまで言うなら認めよう」
「ありがとうございます!」

この方がお館様。顔に傷?否、病気なのだろうか。独特な匂いがする。それと、この声。何だかふわふわする。

「一露葉」
「は、はい!」
「炭治郎達に宜しく」
「え?」
「炭治郎?」
「私の兄です」
「兄妹で鬼殺隊なのか」
「はい」
「杏寿郎も近いうちに会うと思うよ」

お館様なら兄の事も知っているのは当然だ。でも、兄を知っているのなら鬼になってしまった禰豆子の事も知っているのだろうか。

「一露葉、大丈夫だよ」
「え?」
「私はね君達の事を容認しているんだ」
「え?」
「杏寿郎。一露葉を宜しく」
「御意!」

お館様の言う、"君達"には禰豆子も含まれているのだと分かった。お館様からはとても優しくて悲しまれている匂いがしたから。