「む?」
「す、すみません。声が聞こえたので。初めまして!階級、癸、竈門一露葉です」
「うむ、癸か。俺は、煉獄杏寿郎だ」
煉獄さんは話しながらもずっと同じ速さで食事をしている。一体、何処を見て食べているのだろう。先刻から全く目が合わない。
「竈門少女」
「は、はい!」
「日輪刀は何色だ?」
「赤です」
「赤!呼吸は」
「霞です」
「うむ、竈門少女。俺の継子になるといい!面倒を見てやる」
「…え?継子?」
「そうだ!赤い日輪刀なら炎の呼吸がいいだろう!」
煉獄さんの日輪刀の色を聞くと大きな声で赤だ!と返ってきた。育手の銀鏡さんは霞の呼吸が合うと言ってたけど、日輪刀の色でも呼吸の向き不向きがあるんだろうか。
「合わない呼吸を使うとどうなるんですか?」
「日輪刀が折れるな。耐えきれなくて折れる」
「え?!折れるんですか!?」
「安心しろ!俺の継子になれば折れない!」
「……そんな簡単になれるものなんですか?」
「なれる!」
あっという間に大量の食事を平げた煉獄さんは任務を終えたばかりだそうだ。私は任務に向かう途中である事を告げると、お館様に告げ一緒に行くと言ってくれた。そして、翌朝。私は、煉獄さんと一緒に任務先である北北西の町を目指した。
「余所者が消える。なるほど」
「あの、煉獄さん」
「なんだ、竈門少女」
「継子って具体的に何をするんですか?」
「柱と共に行動し、修練をする。先ずは、全集中常中を習得だな」
「全集中常中?」
全集中常中というのは、全集中の呼吸を四六時中やり続ける事を指すそうだ。起きている間も、寝ている間もやり続けるのだ。
「煉獄さんは今も全集中常中を?」
「勿論。他の柱もやっている!」
「頑張ります!」
「うむ!良い心掛けだ!」
銀鏡さんとの修行を思い出す。町に向かう道中も全集中の呼吸を意識する。長めにやっているだけでも肺が痛くなるのに、此れを四六時中なんて凄すぎる。
「この町…ですかね」
「その様だな。陽も出ているから鬼はいないようだ」
陽の出ている内に町の人達に話しを聞いて回ったが、他の鬼殺隊の隊士や旅人は朝になると忽然と姿を消していたそうだ。鬼の姿は見えないが、沼の中にいた鬼のように匂いが濁っている。隣に立つ煉獄さんを見ると、険しい顔をしていた。
「竈門少女」
「はい」
「十二鬼月かもしれない。俺の側に居る事。コレは命令だ」
「はい」
陽が沈み夜になった頃、町の外れから鬼の匂いがした。煉獄さんは鬼の気配がすると言い辺りを警戒しながら、匂いのする方へ進む。
「お前か。他の隊士達はどうした」
「ン〜〜〜?お前、柱だな?」
「質問に答えろ。他の者達はどうした」
「喰ったさ。弱っちいヤツらだった」
「そうか」
何処からやって来たのか、瞳に数字が刻まれた鬼が現れた。そして、あっという間に煉獄さんが戦闘体制に入り日輪刀に手を掛け、技を放った。