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懐かしい夢を見た。


『ちょっと、あんた達またやらかしたの?』
『ああ、コイツがな』
『は?俺かよ!』
『言い出したのはお前だろ』
『連帯責任だろ!』
『ハイハイ、やらかしたのね』
『程々にしなよ?』
『へーい』


良くも悪くも行動が目立つ5人組との警察学校時代の出来事だ。こんな夢を見たのは、昨日の辞令の所為だろう。


「私が?!」
「頑張れよ」


課長に渡された辞令通知には、警視庁公安部への異動を命ずると書かれていたのだ。この辞令により、私は何故か公安部に所属する事になる。公安部か。彼が、彼等が生きていたら、どんな反応してくれたのだろうか。


「MAISON MOKUBA…?」
「新居探し大変だろ、暫くは其処に住むといい」
「え?」
「ほれ、鍵だ」
「は?」
「もう契約済みだから安心しろ」
「いやいやいや。何で勝手に契約してるんですか?!」
「家を探す時間も無いだろ?」
「……もっと早く教えて欲しかった」


通常なら辞令の前に内示で知らされるが、今回は内示が無く、急に辞令が出た。課長が言うように新居を探す時間が無い。半月後には警視庁に異動しなければならないのだ。準備や引き継ぎに追われ、あっという間に引越しの日を迎えた。


「ふぅ、やっと終わったー」


業者による搬入作業や荷解きが終わり、伸びていると外からワンッと可愛らしい鳴き声が聞こえ、何気なく窓から外を眺める。


「え、」


否、落ち着け。落ち着くのよ、私。あの人が居るわけ無いんだから。きっと似てる人よ。だって、彼はもう、この世には居ないのだから。そう自分に言い聞かせても心臓が鳴り止まないのは、彼が亡くなった事を未だに信じていないからなのかもしれない。もしかしたら…と。もう一度、外を見るとまだマンションの近くにいて気が付けば部屋を出ていた。


「…ふる、」
「……」


彼の名を口にしようとした瞬間、言葉を遮るように唇に手を当てられた。一呼吸置いたと思えば、彼は全く別人の名前を胡散臭い笑顔と共に名乗ったのだ。"安室透"と。


「またお会いするかもしれませんね」
「……」
「お名前をお伺いしても?」


彼の一連の行動で、謎が解けた気がする。彼は公安警察の頂点であるゼロに所属し、潜入捜査を行なっているのだろう。正体が明らかになると、命が危うい組織に。


「紫藤藍です」
「素敵なお名前ですね」
「……どうも」


当たり障りの無いやり取りをし、私はそのままマンションへ戻り、彼は散歩に出掛けていった。そして、その夜。彼は突然やって来た。