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" ハロを頼む " という電話から数日が経った。降谷からは何の音沙汰も無い。頼まれたハロはというと、愛くるしい顔で私を見つめている。


「そんな顔してもダメよ?さっき食べたでしょ」
「クゥーン」
「そんなに食べたらおデブさんになっちゃうよ?」
「!」
「…うそ、おデブって言葉分かるの」
「ワン!」
「さすが降谷の愛犬ね」
「俺は何も教えてない」
「クゥーン!」
「は?!降谷?!なん、で…って、鍵は?!」
「ん」
「いやいや、何勝手に合鍵作ってるのよ」
「物騒な世の中だからな」
「貴方が一番物騒なんですけど」


確かにそうだな、と笑いながら言っているが降谷の気は張っている状態だ。また組織の所へ戻るのだろう。またいなくなると気付いているのか、ハロは降谷にこれでもかというくらい甘えている。


「ねえ、大丈夫?」
「問題ない」
「そう。あとどのくらい居れるの?」
「30分程度だな」
「何か私に出来ることある?」
「藍の顔見れただけで十分だ」
「そんな心配だった?私なら大丈夫よ」
「いや、心配はしてないさ。俺が会いたかった」
「一番降谷に会いたかったのはハロみたいね」
「お前は?」
「ん?」
「俺に会いたかった?」
「……かも」
「は?」
「ほら、再会してからほぼ毎日顔合わせてたからさ。なんか調子狂っ?!?」


今、何が起きた?待って待って、頭が全然追いつかない。ほんの一瞬だけ時間が止まっているかのように離れていく降谷がスローモーションに見えている。唇には柔らかい感触が残っていた。


「なッ!」
「可愛いこと言う藍が悪い」
「は?」
「すぐ終わらせてくる。続きはそのときに」
「〜〜っ、するかバカッ!」
「残念」


珍しく楽しそうに笑いながら降谷はまた組織の方へ向かっていった。アレは完全に私で遊んでた。不意だったのもあるけど、不覚にもドキドキしている自分が一番恥ずかしい。


「……はぁ〜。まだ鳴ってる」
「?」
「心配してくれてるの?ありがとう。大丈夫よ」


膝の上で眠ろうとしているハロを撫でていると気が気じゃなかったのが嘘のように落ち着いていた。ああ、次どんな顔して降谷に会えばいいんだろうか。


「………忘れよう。それが一番だ」


私たちは同期であり、今は同じ部署の同僚みたいなものだ。安室透の恋人を演じてるがそれは偽りで本物じゃないし、あのキスに意味はない。忘れてしまえばいい。何もなかったかのように、いつも通り接すれば大丈夫だと降谷が戻るまでの数日、自分に言い聞かせていたのだった。