皆さんはポケモンとどういう関係を築いているだろうか?
相棒??友人??頼れる仲間??それとも家族??
これついては、存在しているポケモンと関係を築いている人達だけ繋がり方は変わってくるだろう。
なぜそんな話をしだしたかと言えば、それは今絶賛私がポケモンとの関係について悩んでいるという理由からだった。

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私は元々ポケモンが好きだが、手持ちに欲しいかと言われればNOと答える人間だった。
周りには大変変わっている、10歳をこえてポケモンを一匹も持ち歩いていないのはどうなんだと言われたことはまだ覚えている。
何故私がポケモンを手持ちにしたがらないのかといえば、野生で生き生きと暮らす彼らを見ることが好きだからだ。
手持ちのポケモンたちが生き生きとしていないという訳では無い。ただ、私はあるがままに自然の中で生きる彼らを邪魔したくないと、そう思っただけの事だった。
私はトレーナーにはならず、学校に通いながらポケモンへの知識、古代から繋がりや伝説について学び、出身地である特に興味深い歴史のあるシンオウで彼らの生態について深く学んだ。
知ることが山のようにあり、私の生活はそれだけでも潤い、論文について興味を持ってくれた考古学者でありながらシンオウチャンピオンというシロナさんと遺跡を調べたり、充実した日々を送っていた。
それに変化が起きたのは、ある一体のリオルがシロナさんに連れられて私のところにやってきた事だった。

リオルは傷だらけの状態で連れてこられたからだ。それも、大変警戒心が強い。
ポケモンセンターに連れていくのが1番では無いのかと思ったが、街のように人が多過ぎる場所はリオルの負担になると彼女は思って連れてきたらしい。

私は野生のポケモンたちの観測をしたり、なにか事故で傷付いた彼らを治療したりする、野生のポケモン専門の診療所みたいなものをやっている。
なので、基本的に人が訪れることは少なく、野生のポケモン達がいつの間にか思い思いに遊びに来て、治療を手伝ってくれたり、ご飯やおやつをお礼にあげたりする、そんな場所になっていた。

それを知っていて、信頼して彼女は連れて来たのだ。
なら、その期待には答えないといけないし、傷は綺麗に治して元々住んでいた所にこの子は返すべきだ。

私は彼女からリオルを受け取り、たまたま遊びに来ていた野生のチリーンに〈いやしのすず〉をお願いしつつ、気絶をしていたリオルの治療をする。
その時には丁度、治療道具なども揃っていたおかげでリオルに付けられた傷を粗方治すことが出来た。
まだ軟膏などが必要なところは包帯を巻いているが、少し動き回る分には問題ないくらいの傷だ。

その事にほっとするが、でも大変なのはこれからだ。
案の定、2日後、目が覚めたリオルは混乱し、私の姿を見た瞬間に攻撃を仕掛けてきた。
まあ、それも仕方ない。だって彼は傷つけられ、気を失った後にここに来たのだから。
リオルの出したのは〈メタルクロー〉というはがねタイプの技。鉄板なんて簡単に切り裂いてしまうそれが腕に掠った私は、ぐるると低く喉を鳴らすリオルを刺激しないようにゆっくりと目線を合わせるために座り、敵意がないことを示すために心の中で大丈夫だよ、と語りかける。
リオルは波動で人やポケモンの心を理解出来る。波に乗った感情を感じとり、その相手が安全か、安全でないか見分けることが出来るのだ。

暫くすれば、リオルは私が危なくないと理解したのか、メタルクローをするのに力をためていた両手を下ろしてくれた。
その事にほっとしつつ、出血してしまった左腕を抑えつつ、「手を下ろしてくれてありがとう」といえば、戸惑うようにリオルは鳴き声を上げた。
台所でおやつを食べていたらしいチェリンボに傷口に〈しびれごな〉をお願いし、消毒しつつ10針程縫い、それが終われば別室で小さく体育座りをしていたリオルに声をかける。
お水とオレンのみとオボンのみを使ったジュレをみせ、水を1口と、少し混ぜたジュレを1口目の前で食べ、リオルに器を渡す。
保護されたポケモンにはこうして毒も何も入っていないことを教えるというのはとても重要で、そうしなければ食べない子も多い。
敵意がないことを先程理解してくれた為か、思ったより素直にリオルは手をつけてくれた。

元々はいい子なのだろう。

少しまだ警戒心が残ってるのか半分残されてしまったが、ここまで食べてくれたのならいい方だ。
使ったふたつの木の実はどちらも体力回復にいい、ポケモンにとっては栄養食のようなもの。食品添加物も混ざっているポケモンフーズより馴染みのある食べ物だし、なにより症状によって使い分けることが出来るので便利だ。
うんうんと頷きつつ、トレーを下げ、さて、と、リオルにこれからの事を手短に話そうと口を開いた。

「君に何があったかとか、そういうのは言葉とかも通じないから無理に聞いたりしないから安心してね。
それと、傷が完治したら、君を保護した人が、故郷にちゃんと戻してくれるから。」

私の言葉に大変驚いたというように、リオルは目を見開いて声を上げる。
なぜそんなに驚くのか、私が逆にびっくりする。まさか私が君をゲットすると思ってたの???
いやいやないない。

「私は手持ちのポケモンを持たない主義なんだ。この家にポケモンが来るとしたら野生の子たちばかりだから、まあ、気楽に声をかけるといいよ。お菓子やカレーを食べに来るいい子たちばかりだからね。」
「がう……」

信じられないとばかりに訝しげな顔をされたが、まあ、ホントのことだから仕方ない。
怪我が治るまではここが君の住処みたいなものだからゆっくりくつろいでいなよと笑いかければ、ぶすくれた顔をされた。少し可愛かった。