審判のフーディンがシロナさん側の腕を上げる。
ポケモン達が歓声を上げ、わたしとシロナさんはルカリオ達に駆け寄った。
「ルカリオ、よく頑張ったね」
目を回していたルカリオを、膝を着いて抱きしめる。
負けた、負けてしまった。
悔しく思う、でも、それよりもどこかスッキリしたような、晴れやかな気持ちなのはなぜなのだろうか。
よしよしと、ルカリオの頭を数度撫でつければ、呻き声を上げてゆっくりと瞼がもちあがる。
ごろごろと喉を鳴らすルカリオに、「ありがとう、あの時はあんな風にいってしまってごめんなさい」と、そう伝えれば、リオルの時と同じような可愛らしい笑顔を浮かべて頷いてくれた。
「クフィナ、ルカリオ」
シロナさんに名前を呼ばれ、一緒にそちらの方へ顔を向ける。彼女の名前を呼ぼうとした瞬間、なぜだか頭を下げられた。え、と驚いていれば、シロナさんが口を開く。
「とってもいいバトルだったわ。縛りを掛けているとしても、正直、私のルカリオが膝を着くなんて思っていなかった……
1番甘く見ていたのは私だった、ごめんなさい」
「そんなこと……」
まさかそんなふうに言われるだなんて思ってもみなくて、なんと言えばいいのか口をパクパクとさせていれば、がばりと急に顔が上がる。
その時のシロナさんは、ポケモントレーナーを目の前にした、好戦的なあの目になっていて、ぴゃっとしていればルカリオと私の手が握られた。
「次は侮らない。だから、またバトルしましょう!その時は縛りなんてせずに本気でやるから!」
「ええっ」
「えぇっじゃないわよ!いいでしょ!?だってほんとに楽しかったんだもの!」
「そんな事言われても私トレーナーじゃないんだけど」
「あれだけ指示できてそういうのは通用しません!!!というかほんとに勿体ないわよ!貴方ならジム制覇もできるでしょ絶対!!チャンピオンの座は譲らないけど惜しいところまでは絶対いくのに!!」
「し、シロナさん落ち着いて」
「うう、だって!!だって私ずっっと友達である貴方とバトルしてみたかったのよ!?それが、こう、あーーもう!!
兎に角!!またやるの!ほら、ルカリオもリベンジマッチしたいでしょ!?もう1回私のルカリオと戦うの!」
「!ばう!!」
今まで貯めていたものを吐き出すように、シロナさんはいう。そんなふうに思っていたんだな、と思いつつ、そういえばシロナさんって結構幼いところがあるよな、ということを思い出す。
こくりと頷くルカリオに、まじかと思いつつ、勢いに押されながら、シロナさんのルカリオへ助けを求めればふるふると頭を振られる。諦めろということですか??
溜息を着けば、困っている気配を感じたのか、ルカリオがこちらをじっと見てくる。
駄目ですか、ダメなんですか?僕やりたいんですけどと訴えてくるようなキラキラした視線に、うっと声をつまらせつつ、そっと視線を逸らせばしょぼんと耳が垂れる気配がした。
ちょっとそれはずるいんじゃないだろうか。
「……どうなっても知らないからね」
「!!」
ルカリオには悪いことをしたし、それのお詫びとしておこう。
ぴんと耳を立てたルカリオがぐるると、ニコニコと笑いながら喉を鳴らす。
結構私は、いつの間にかこの子にだいぶ絆されていたらしい。
それを微笑ましそうににこにことシロナさんが見てくるのに、その視線に耐えきれず逸らせば、くううと、盛大にどこからか腹の虫がなる。
それは、シロナさんの後ろから聞こえて、ばっと彼女のルカリオに顔を向ければ、無表情ながらも気恥しそうな顔をして視線を逸らしている。
「ふっふふふ!!そうね、お腹が減ったからご飯にしましょう!!」
「その前に治療しないと、あ、あーーー、」
「それは勿論わかってるけど、なに、どうしたのクフィナ」
治療道具持ってこないと、と思い、ルカリオに肩を貸して立ち上がらないとなと足腰に力を入れるが、立てない。
上から見下ろしてくるシロナさんに、あーー、とまた声を上げながら、彼女の服の裾をにぎり、緩く引っ張る。
「……腰抜けて立てない、へるぷみーー」
この後シロナさんに爆笑された。
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