完治してから、わたしはあの時思ったことを全て実行した。リオルの好きな具材でカレーを作り、色とりどりのポフレを振る舞い、家の近くで一番大きな木にブランコを作った。
ブランコは好評でポケモンの親子が順番になって使っているのをみて、ガッツポーズを思わず取ってしまったりして、それを見たリオルに僕もやりたいとばかりに手をひかれたなぁ。
そう、そのリオルなのだが、あの日以来私の傍を離れず、とてとてと鳥ポケモンの雛のように私のあとを追ってくる様になった。
しかも、なにか調理する時には食材を着るのを手伝ってくれたり(この時もやっぱりアイアンクロー)、パソコンで資料をまとめ研究所に送ったりしていたときなどはカップにこのあたりのかくとうタイプのポケモンたちから教わったらしい木の実の絞り汁を入れて持ってきたりしてすれるようになったのだ。

笑顔でそれを差し出してくるリオルはかわいい。なんなら他のスボミーたちも競って、どこからがとってきたらしいアケビなどの果物を持ってきてくれるのだからかわいい。可愛い相乗効果よ。わたしは萌え死ぬという言葉を使うようになってしまったぞ。


その事をテレビ通話越しにシロナさんに報告すれば、あらあらと笑いつつ、やっぱりあなたに任せてよかったわねとウンウンと頷かれた。

「リオルめちゃくちゃ元気ですよー。なんなら今は外でムックル達とかけっこして遊んでます。」
『そうなの?それじゃあ私が見てるあなたの背後にいるリオルは別のリオルなのかしら?』
「えっ?あ、うわあお!?いつからいたんだい君!?」

お外で遊んでいたはずのリオルが背後にいたらそれはびっくりするわ。
ドアのノックはちゃんとしないとダメだぞーと、うりゃうりゃと頭を撫でてやればはーいとでも言うように鳴き声をあげつつ、私の膝の上に乗り上げてきた。
おお?と驚きながら、ばうばうとこえをあげてすりついてくる。

『わあ、すごい!ほんとにとっても懐いてる!』
「がう?」
「リオル、これはテレビ通話と言って、君の波紋のように遠くの仲間との会話に使うどうぐなんだよー。そしてこの人が君をここに連れてきた人さ。」
『目覚めてる時は初めましてね!リオル〜元気してる〜?』
「ばう!ばうばう!」
「これは元気ですと初めましてのご挨拶ですかな」
『お礼も入ってるかしら?礼儀正しい子ね』

訝しげな表情が一転、ぱあっと明るい笑顔になるリオルの可愛さよ。テレビ越しに2人でうんうんと頷けば、きょとりとした顔で私達を交互に見る。

「リオルはいいこだねって話してたんだよー」
『ふふ、ああそうだ、今度近々あなたのところに行けそうなの。』
「あ、じゃあ終わったの?」
『ええ、ぱぱっと解決してきましたとも!』
「さすがはシンオウチャンピオンね、まあ、ほんと早く捕まってよかったわ」

ドヤ顔で胸を張るシロナさんに拍手を送れば、ガブリアスのおかげよ〜と、にこにこと笑顔になる。
なんのことか分かってないリオルは、そんな私たちに不思議そうな顔を向け、きょとりとした顔でなんだなんだと服の裾を引いてくる。

「シロナさん、この人が君に酷いことをした人を捕まえて、もう君に絶対に手を出させないようにしてくれたんだよ」
「!?」
『地味にメタモンを使って変装するようなやつだったから戸惑ったけど、ジュンサーさんに突き出したからもう安心よ。』

ぶいっと2本指を立てるシロナさんにそれを見つけるのも凄いなぁ、と親指を立てる。
そう、シロナさんはリオルを保護したあと何をしていたかと言うと、リオルを傷つけたであろうポケモンハンターを捕まえるためにシンオウの各地を飛び回ってくれていたのだ。
チャンピオンはポケモンGメンたちのように違法な行いをしている、トレーナーやハンターたちを法的に取り締まることが出来るのだ。
それは、実力と人間性などを認められたチャンピオンやジムリーダーたちに応援の要請が出たりするため、そういった事に対してはジュサーさんたちと同じような力が持てるらしい。
シロナさんは特に、歴史の研究のために様々な遺跡に行くことが多い。人が余り入らない場所でもあるので、そこには珍しい普段見られない野生のポケモンたちの姿がある。
それを狙ったハンターたちにごく稀にかち合ってしまうらしいのだ。今回のリオルもそれの被害ポケモンであり、見過ごせないとシロナさんは動いてくれたのだ。

閑話休題

『あ!ヒウンアイスが販売される時間だわ!!とりあえずそういう事だから!色々買い出ししてから遊びに行くわね!行く前には連絡するから!それと私!アイスクッキーが食べたいです!!!!』
「はいはい、作って待ってるから前日には教えてねー」
『はーい!たのしみにしてるわ!!』

さすがはアイス狂、アイスに目が無さすぎる。それに対しての目の輝きが違いすぎるぜマイフレンド。
ぱっと目の色を変えた彼女はそれじゃあね!と物理と通話を着る。嵐のように去っていった彼女に元気だなぁとおもいつつ、膝の上のリオルに良かったね、と声をかけようとすれば……

「ぐるるる」

何故だかとても低く喉を鳴らしていた。