と学園長室に呼び出されて知ったけれど、私のような異世界の人間にも当て嵌まるのかは定かじゃないので念の為こういう事もあるかもしれない程度に頭に入れておく事にした。
みんなとは途中で別れて帰る途中、図書館に寄った。どうやら学園長は"大変忙しい"ようなので自ら調べるしかないと思った。
幸い私は寮の管理を任されただけで弟のように学校行事に参加しなくてもいいので"とても暇"なのだ。要するにつまらないのだ。
「どこをどう探せばいいの」
どういった本があるのか歩きながら背表紙を眺めた。
基本呪文集や薬草図鑑、魔法史などホグワーツでの授業を思わせるラインナップに少しホームシックを感じながらも目が止まったのは"偉大なる七人"という本だった。
手に取ると子供向けの本のようで何となく興味が湧いて、少しだけだと自分に言い訳して近くの机に座って読んだ。
物語テイストで大変面白かった。
けれど、時間が結構経っていて閉館時間が迫っていたため慌てて本を戻して出ようとした。その時、図書館内に大きな音が響いて静かだった館内が騒然となった。
どうやら生徒が本棚にぶつかり本が崩れ落ちたようだった。騒然となるくらい人はいるのでわざわざ行く必要はないなと図書館を出ようとしたら同じく出ようとした人と肩がぶつかってしまった。
「あ、ごめんなさい」
「気をつけて欲しいッスね」
「っはい」
ぶつかった相手の頭に動物の耳が生えているのに気付いて、素早く距離を取った。
相手の生徒は軽く注意するだけでそれ以上何もなかったため安堵のため息を吐く。
いくら香水を着けているからといっても安心できないと知ったばかりだったので、何事もなくて安心した。
寮に戻ると弟と学園長が寮に入っていく姿を見かけて、急いで私も寮へ走った。
どうやら立て続けに生徒が怪我をしているから調査をして欲しいという雑用のお願いだった。
私たちは学園長に生活を保証してもらっている立場なので断るという選択肢はなかった。
調査は私も一緒に行うようになり、万が一自分たちに危害が及んだ場合の防衛として杖を返してもらえないかと交渉したけれどダメだった。
調査のための移動であればどこへ行ってもいいという許可はもらったので、マジフト出場というご褒美にやる気を出しているグリムに呆れながらも調査に乗り出した。
グリムの話の聞き方が悪く険悪な雰囲気になりつつも怪我をしたという生徒に聞き込みをしたが、グリムが言うように本人のおっちょこちょいで怪我をしたように思えた。
けれど、この世界には"ユニーク魔法"というその人個人が使える独自魔法のようなものがある。その可能性は捨て切れないなと寮に戻り考えていると、エースが遊びにきた。
「エース!大変だ!」
そこへ駆け込んできたデュースがトレイさんが階段から落ちたという悲報を告げた。
私たちが急いでトレイさんの自室に行くと暫くは松葉杖生活だという。私ならこんな怪我すぐ治せるのに杖を持っていないことが口惜しい。
この世界にはこういう怪我を治す魔法や魔法薬は存在しないのかと落胆した。
私たち同様お見舞いに来たリドルさん曰く落ちそうになった自分を庇ってトレイさんが怪我をしたという。
詳しく話を聞くとますます怪しくなった。ケイトさんに促されて談話室で今回の事と一連の生徒の怪我について議論する事になり、学園長から頼まれた事を話した。
「実はボクも何か変だと思って、ケイトに情報を集めてもらっていたんだ」
「そしたらリドルくんやトレイくんみたいな有力選手候補ばかり怪我してるって事が分かってさ」
マジカルシフト大会は世界中が注目する程の大きな大会なようで、それなら有力な選手を怪我させて自分が目立とうという心理が働いてもおかしくはなかった。
リドルさん達も自分の寮生が怪我をしたという事で手伝ってくれるようで大変心強かった。
それより、エース達までが犯人探しにやる気を出しているのが不思議だった。
「あーさては空いた選手枠を狙ってるな〜?」
「へへっバレた?」
「いっいや、僕はそんなことは!
全く抜け目がないというか不純ではあるけれど、寮長の"考慮してもいい"という言葉でやる気を出してくれるならまあいいかと思った。
作戦としては、リドルさんの提案で次に狙われそうな人物を護衛して事件が起こったら速やかに生徒を保護し、周囲を捜索し犯人を追跡することになった。
「実は選手候補の中でも"コイツは狙われそう"って生徒に目をつけてあるんだ〜」
そういってスマホを取り出して、マジカメのメッセでグループ作って情報共有するっていう早技をみせた。
親指一本で素早くぱぱぱっと操作していてうっかり見入ってしまって、顔を上げたケイトさんと目が合ってしまった。
「あ、ユウちゃんとミヤちゃんはエーデュースコンビに見せてもらってね〜あ、オレの見る?」
「あ、ありがとうございます」
弟はエースのスマホを覗き込んでいた。
私もケイトさんに差し出されたスマホを覗き込むとそこには、この学園の生徒の顔写真の画像や学年名前などの情報が表示されていた。
この情報量はお得意のマジカメとかで収集したのだろうか、ここまで調べ上げるなんてすごいなと感心した。
「んじゃ、早速ターゲット候補を見に行ってみよっか」
「いざ出発!なんだゾ!」