in ハレルヤランド

「野郎共、今日はなんの日だー!?」

どこからともなく(たぶんアフロの中あたりだろうな)マイクを取り出し、声高々に叫んだボーボボさん。ハウリングして耳が痛い。因みに今日はなんでもない普通の日、更に因みに、そしてなんの因果か、場所はハレルヤランド。ここの経営者だったハレクラニさんを倒し、ハレルヤランドを壊滅させた後、ボーボボさんたちは何故か、ところてんランドと言いながら地面にちくわが突き刺さっているという、どんなコンセプトでどの層をターゲットにしたんだとツッコミを入れたくなるようなテーマパークを再建した。が、それもものの30分で潰れ、その後、懲りないハレクラニさんがまた再建したらしい。

「バレンタインデーであります!!」

首領パッチさんと天の助さんが、自衛隊員よろしくビシッと敬礼のポーズで声を揃えた。きっと3人で事前に打ち合わせでもしたんだろう。言っておくけど、2月14日ではありません。そんな2人を見て、ビュティちゃんとヘッポコ丸さんは呆れ顔。

「ってことでチョコ寄越せーっ!!」
「ぎゃああああああ!!」

両手を前に突き出したボーボボさんは、首領パッチさんと天の助さんに突進。2人は絶叫しながら吹っ飛んだ。最初はいちいち心配していたけど、もう慣れた。と言うか慣れざるを得なかった。

「ビュティ、なまえ……、僕にチョコを下さーい!」

突然キャラが変わったり、女装しだしたりするのは、日常茶飯事なので驚くことじゃない。けど、仲間2人をぶっ飛ばしたあとでのこの豹変っぷりには目を見張るものがある。

「もー、チョコなんか持ってないよ! 今日は遊びに来ただけなんだから!」
「右に同じ……、と思ったらポケットにアメちゃん発見! では、チョコの代わりにこれを授けよう」

そう言って、恭しくアメちゃんを掲げた。因みに青リンゴ味。私好きじゃないからいいや。最近自分でも、なんかキャラ違うなとは思ってる。確実にボーボボさん達のハジケに当てられた。ハジケって感染るんだね。こんな中で流されずにツッコミができるビュティちゃんはすごいと思うよ。さっすが僕らのビュティさんだ。
ボーボボさんは、私が差し出したアメを受け取ると、ありがたやー、とか言って、地面に両膝をついて崇め奉り始めた。視線が痛いからやめてください。

「ボーボボ、変なことしてないで立ちなよ! みんなこっち見てるよ!」
「そうですよボーボボさん! ヘンな宗教だと思われますよ!」
「実際なんかもうヘンな宗教団体御一行っぽいけどね、私達」

はーいママー! と言って立ち上がるボーボボさん。ビュティさんマジおかん。それから、突然ボーボボさんの名前を呼ぶ声。さっき吹っ飛ばされたコンペイ糖とところてんだった。50メートル走さながらの勢いで走って来た2人は、その勢いのまま、ボーボボさんに飛び蹴りを喰らわせる。そしてそのまま、真っ正面にあったアトラクションに殴り込み。そこが爆破されないことを祈るばかりだった。

「さて、あの3人と一緒にいたらどーせまた遊び損ねるだろうから、ここからは別行動にしよう」
「うん、そうだね……。へっくんとなまえさんはどこに行きたい?」
「うーん、俺は別にどこでもいいけど……。なまえさんは?」

よし、この2人をくっつけるチャンス到来。私、2人の愛のキューピッドになります! 自分でも薄々キャラおかしいことには気付いてるから。くっつけるっても、私が2人の前から消えるだけの簡単なお仕事なんですけどね。

「ごめん、私ちょっとお手洗い。2人で回っててくださいなー」

と言いつつすごい勢いで2人から遠離る。ビュティちゃんがなにか言っていたけど、もう遠くてよく聞こえなかった。よし、私は右手でガッツポーズを決める。2人ともお幸せに! いやあ、いいことしたなあ、と完全なる自己満足に浸っていると、突然肩を叩かれた。どうせ一行の誰かだろうと思って振り向き様、あれ、一行完全なる別行動のはずですが。と脳内の私が吐き出したときには、もう完全に後ろを振り返ってしまっていた。


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