××
声が聞こえる。
一つ瞬きをすると、まばゆい光が目に飛び込んでくる。
それは人々の喝采と共に、いくつもの輝きが自らの五感に流れてきた。そこは、美しい城下の街だった。
その街並みを見下ろすような一室に、自分はいた。周りに視線を移すと、装飾は豪華絢爛で、まるで王室にように思えた。
『この平和が、いつまでも続けば……』
隣から聞き覚えのある声がした。
咄嗟に振り向こうとしたが、また一つ瞬きをすれば辺りは暗闇に包まれる。
否、ただの闇ではなかった。
じくじくと染みわたる目の痛み、むせ返るような臭い———それが煙であると気づいた瞬間、思わずせき込んでしまう。
それもただの煙ではない。暗雲とした色と何かが混ざったこの臭いは、きっとただのガラクタが燃えただけではない、他にも違う、身近なものが焼けたような……。
ハッと、先ほどの声の主を探そうとあたりを見回す。今まで視界が煙に遮られていたせいで、すぐ足元にあるものに気づかなかった。
いや、気づかないほうがよかったかもしれない。それはただ一言、惨劇だった。
一番に視界に飛び込んできたのは、赤。赤。赤。どろりと地面に広がる粘着性のある液体と、そこら中に転がる石のような塊。
その液体が何なのか、塊が何なのか、それを考える前に脳がガンガンと警告を発する。これ以上は見てはいけないと。
しかし、身体は言うことを聞かず一度視界にとらえたものから目を離せなかった。ついには、いくつかの塊の一つに目がくぎ付けにされる。
それは見覚えのある色形をしていた。
しかし、自分の記憶とは明らかに違う形状で、思わず口を覆う。
それは
———手足だった。
それだけじゃない、腕、足、首、耳、目、そこら中に落ちている塊はすべて、人間だったもの。
瞬間、一面覆われていた視界がぱっと開け、それまで遮られていたいくつもの情報が暴力的なほどに流れ込んでくる。
身体の一部が欠けた横たわる兵士達、どこからか聞こえる女子供の悲痛な叫び、繋がれた紐を引きちぎらんとする畜生。
あまりの一変さに、ついに視覚が狂ったのかと疑う。
ふと、足元で何かが動く気配がした。
『あとを、頼んだわよ』
ああ、いやだ。そちらのほうに向きたくないのに。
首がゆっくりと、操られるように動いていく。
視界に入る、
それは。
あかい
あ、
ああ、あ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
どぷり。
俺は———闇に飲み込まれた。
××