情報屋さんのお客

「いらっしゃい、銀のバラッドへようこそ」
「――ふむ、御伽噺をご所望で。なら手前の窓から右に三番目の本棚にあります。そこから好きなものを取ってください」
「お代、はこれくらいでどうでしょう」
「……」
「何か、他に御用で?」
「……はあ?助手?」
「今日初めていらした御仁が、何故それを?」
「……成る程」
「いえ、此方の話です。では返却は後程、助手に向かわせますので」
「この出会いに、幸多からんことを」


「いらっしゃい。ああ、貴方でしたか」
「助手から話は聞いています。良い出会い、だったそうですね。もちろん貴方が選んだ本の事ですよ」
「今日はどのような情報をご所望で?」
「…え?情報屋の好みの本?」
「さあ……好みで集めたわけじゃないからな…」
「そうですね、助手ならあそこらへんの――」

「選び終わりましたか。なら、お代はこれほどで」
「今後とも御贔屓に」


「いらっしゃ――なんだ、今日も来たのか」
「生憎今うちの助手は出先で、暫くは戻ってきませんよ」
「……はあ?」
「意味の分からないことを、冷やかしならお断りだ」
「へえ?ならうちの情報の一つや二つ買っていくことだな。話はそれから聞いてあげますよ」
「……面倒くさい」
「ああもう、さっさと選んでさっさと出ていけ」


「……昨日の今日でよく飽きないな。私との会話がそんなに楽しいのか」
「そりゃあもう、理解できない。互いに知り合ってまだ間もないだろう。この間のどこで好奇心を掻き立てられたのやら……」
「は?見た目?」
「出禁にするぞ」


「いい所に来たな、丁度名前に試してもらいたいものがあって」
「何って、お前はこれがシチュー以外のなにに見えるというんだ」
「レシピに少しアレンジを加えてな。薬学の知識から健康に良い植物を魔法で煮詰めたんだ」
「これを食べれば健康増進、回復速度の上昇が期待できる」
「キィザには先ほど逃げられてしまってな、名前が来てくれて本当に助かったよ」
「さあ、どうぞ、召し上がれ」


「あんなの嘘に決まってるだろう。信じる方が悪い」
「まあ薬草を入れたのは本当だがな。実際どうだ、血流が良くなって朝の目覚めが快適だったろう」
「流石にただのゲテモノを食わせるわけにもいかないからな、ほんの少しの良心だ」
「ん、ああ、最近のお前は、クマが酷そうだったからそれもあって――」
「……今のは聞かなかったことにしてくれ」
「煩い煩いそれ以上続けるなら助手を呼ぶからな」