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暗い空には稲妻が光り、どす黒い雲が雨を大量に降らせている。
薄暗い森の中、息を切らせて走る少女..ルキ。
ルキは走り、何かから逃げるように空を見上げる。

「っ…あいつらに見つかるなんて……」

「見つけたわよ!この小娘!!」
「今日こそ殺してあげるから!」

空にデビル的な翼を広げ、自由に飛んでいるのはドラキュラ伯爵の花嫁達だ。

「ちっ…追い付かれた…!」

必死に逃げるルキだが、空を飛ぶ花嫁達には敵わない…。
敵を切り裂くための鋭い爪がリルを切りつけている。

「っ…!いった…」

腕や顔をつーっと赤い線が無数に走る…遅れて感じる痛みと共に、赤い血が傷からたれて雨水で薄まり地面に落ちる。

「人間など所詮赤子も同然!」

花嫁達の高笑いが良く響く。
前の見えない中を必死で走り、足を滑らせた。

「ぁ!……っ…逃げなきゃ・・・」

すぐに立ち上がって走り出そうとするが、足を豪快に擦りむいたようで痛みが走ってバランスを崩したルキ…運が悪かったのか、その先は崖だ。

「いっ……きゃぁぁーーーーー!!」

ルキが崖から落ちるのを確認した花嫁達は、いい様だ!と高笑いしながら城へと帰って行った。

(…落ちる……ゼネルガ!)

崖から落ちるなか、ルキはドラキュラ伯爵の真名を心の中で叫んだ…助けてと・・・。

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