01

“彼”のことを考えていると、いつも現実が見えなくなる。


「リル!危ない!!」


連射されるたくさんの銃たちの音。
低く振動するいくつもの戦車の砲撃...。

それが私の生きる“現実”。

気が付いた時には、もう遅かった。


目の前には敵からの、無限の砲撃を放たれていた...。


ーーー逃げ切れない


私の足は地面についたまま動いてはくれない。

ふと頭を横切った、”彼“の姿...。


ーーーこれで私はあなたのもとへ逝けるだろうか?


あつい、熱い...砲撃の熱すぎる熱で体が焼ける。
後からやってくる、鋭い痛み。


遠くで、仲間の声が聞こえる気がする。


死にたくないと、私の本能は思う...。


でも私は、何処か心の中で

”死“を受け入れていた_____

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