03(完)



 ̄ ̄ ̄ーーー_____

...どうして私は、あの時耳をふさいでしまったんだろう...

音もなく落ちてゆく木の葉を見ると、いつも思い出す。


「...僕は君をーーー」


あの時、彼は何と言ったんだろう。

私に何を伝えたかったんだろう。

無理矢理さえぎってしまった言葉の続きは何だったんだろう...。

いくら考えても、その答えはわからない。

もう私には、それを知るすべはないのだから...。



 ̄ ̄ ̄ーーー_____




そして、戦争は終わった。時間が進む。

それでも、私の体は動く事は無い。

取り戻せたのは視力だけ...。



窓の外。音も無く落ちていく木の葉を見ると、無性に...。

あの戦いの日々、私が殺してしまった“彼”の事をいつも思い出す。

今の私に“彼”のもとに逝く手段はない。

動かせないどころか、感覚すら無い私の体...。


それにあの時、私を呼んでいたセレナはもういない。




自分で自分の命を絶ちたいというのに、体は動かない。

私はいつまで“彼”とセレナにとらわれて生きればいい?


「この現実は、まるで地獄...」

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