第一話 忘れられない

暑かった夏が終わり、秋が来る...この物語の主人公である竜也の一番嫌いな季節である。
第三西高校。竜也はいつものように授業をサボり、屋上で寝ていた。

「...............」

日陰で眠る竜也は眉間にシワを寄せて、苦しそうに顔を歪めていた...どうやら悪い夢にうなされているらしい。
悪夢を振り払うように、バッと起き上がって頭をおさえた。

「...理奈......」

今さっきうなされていた夢に出てきた...竜也に忘れられないキズをつけた1人の少女。

「竜也先輩ー!!」

階段から屋上へ向かって来る、竜也を呼ぶ声。
竜也は一気に現実へと引き戻された...するといつの間にか、後ろから竜也を抱き締める細い腕。
後輩である一年のひなただ。

「また悪い夢ですか?」

大丈夫ですよと、ひなたは小さな男の子を宥めるように彼の髪を撫でた。
竜也は、そんな優しい彼女にすがるように抱き締めた...。


ーーーいつまでたっても、俺はお前を......

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