第五話 紅葉を見るたびに想う(完)

いつものように授業をサボった竜也は屋上にいた。錆びれたフェンスに寄りかかって座り、青い空を見上げている。

「...理奈......」

すると風が吹き、竜也の視界に真っ赤な紅葉が入り込む...紅葉を見ているとどうしても思い出してしまう。
何よりも大切な彼女..理奈のいなくなった“あの日”の事を__________


“「ごめん、竜也...私はもう、竜也と一緒にはいられないかもしれない」”


俺の中でずっとリピートしてる、俺にとって理奈の最後の言葉。
そんなこと言うなよ!俺はずっとお前といたかったんだ。

だから俺は、その日から理奈に会いに行くのをやめた...理奈にどう会えばいいか分かんなかった。



そして、“あの日”は来た。

理奈の母親から電話をもらって、俺は理奈の入院している病院に急いで向かった。
エレベーターなんか待っていられない俺は、階段をかけ上がった。そして、理奈の病室のドアを開けて中に入った。

「理奈!!」

いつもみたいに、理奈の顔が見えない。嬉しそうに俺を呼ぶ声が聞こえない。

ベッドに眠る理奈は昔から体に繋がる点滴も、医療器具の管も...何も無い。
そんな理奈を見るのは初めてだ。ずっと見たいって思ってた。

でも、今の理奈は...もう俺に、笑うことは無い。

ーーーこんなことなら......










 ̄ ̄ ̄ーーー_____


「ぱい...竜也先輩!」

竜也のすぐ目の前には、不安そうなひなたの顔...竜也は一気に現実へと引き戻された。

「ひなたか...」

感情を失ったような声と、さびしそうな竜也の表情。
ひなたはそんな彼に気付かないフリをして、いつものように笑った。

(「ごめんな、ひなた...」)

音にならなかった、竜也の言葉。



















今年の秋も“あの日”を思い出して、彼女を想う...

想いに舞う紅葉

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