01

放課後。優雅たち3人は、真希の家へと向かった。
また、大通りで信号待ちを強いられる優雅。

「…くそっ…イラつくんだよ…」

忘れていたい記憶のフラッシュバック。
そんな優雅を心配するシンヤとレイナ。










真希の家。
真希の母親、満姫にリビングへと通された3人。

「おばさん、悪いけど真希の部屋行ってていいか?」

優雅の顔色は良くない。

「いいわよ。私から、説明するから…」

満姫は、笑顔で優雅に答えた。

「悪い…」

シンヤとレイナに言ってリビングを出ていく優雅。

「ああ…」

シンヤは、頷く。

「さぁ、どうぞ。座って」

満姫は、そう言ってキッチンへと行き冷蔵庫を開けてジュースやお菓子を用意する。

「真希ちゃんのお母さん、お構い無く」

シンヤが言った。
笑い返す満姫。

「いいのよ」

満姫は、テーブルにジュースとお菓子を並べた。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

レイナは、ニコッとして言った。

「すみません。俺達は…」

話を切り出したのは、シンヤだ。
一瞬だけ、満姫から笑顔が消えた。

「そうね。そうよね…優雅くんが、あなたたちに話してって言ったんだものね」

言いながら、立ち上がる満姫。

「ごめんなさい。座ってもらったのに…」

満姫は、廊下を挟んで隣の部屋へと案内する。

いったい、何があるというのか…。











真希の部屋。
入ってすぐに鞄を置いて真希のベッドにうつ伏せに寝る優雅。

「…くそっ……真希…」

寂しそうに言う優雅。

「…ごめん…真希ッ……ごめ、ん……」

真希のベッドにうつ伏せたまま、声無く泣きじゃくる優雅。

「……ま、き……」

優雅の布団を握る両手に力が入っていく…。

「…っ…ぅく……っ……」

真希のことを想い、また自分のしたことに悔やむ優雅。
声を押し殺して泣く優雅の想いが、真希の部屋にこだまする…。
この想いは、真希には…もう、きこえない。


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