01


‐星羅の家の玄関‐

次の日の朝。
普段、学校に行く時間より少し遅い。
学校へ向かう星羅。
純也から


『明日また音楽室に来てくれないか?』


『明日、待ってるから!来るまで音楽室で待ってるから!』


そう言って星羅と拓を残して、どこかに行った純也。


『来るまで待ってるから!』


という純也の言葉が気にかかってしまい朝から行くことにした。

「…昨日は疲れたよねールナにいじられるわ...お母さんにも言っちゃうんだもん…」

ため息をつきながら独り言る星羅。



学校へ着くと、靴を履き替えて音楽室へと向かう。
今日から冬休みのため、人影すら見当たらない。

「何するんだろ…?」

そんなことを呟いて、階段を上ろうとしたとき...ピアノの音が聞こえてきた。


「…桜木、純也……この曲..なに?クラッシックなの…?」

何故か、すごく気になる様子で星羅は走って行く。

(…何で?…何かすごく……)



‐音楽室‐

純也がピアノを弾いている。
“ピアノの天才”で音に感情が乗らない。
そう言われてきた桜木純也。
だが、星羅の歌声をきき、組みたいと思い係わるうちに自分もまわりも気付かぬうちに変化があった。

そう、今、弾いている曲には紛れもなく“感情”が乗っている。










‐音楽室の前の廊下‐

「………………」

音楽室の戸の前、何とも言えない表情をして立ちつくしているのは星羅だ。

(…桜木純也の音って…何で、こんなにッ…)

「…引きずられるの…!?」

途中から思っている事が声になる星羅。
だんだん星羅の瞳に涙が溜まっていく。

「…感情が…つられる…すごい、せつない?」

そんなことを想いながらきいていると、純也が弾いていた曲にritがかかり終わる。
その場から動けない。
まだ、泣きながら余韻にひたっている星羅。






純也side

俺は、朝からずっとピアノを弾いてる。


黒木 星羅を想って……。


あいつが、いつ来るかなんて分からない…嫌われてるなら来ないかもしれない……


でも、あいつを想ってピアノ弾くと、感情が乗ってる気がするんだ。



…星羅…好きだ...好きなんだ!!



嫌われてても、この気持ちを伝えたいんだ…俺の、たったひとりの……








星羅side

どうしてこんなに…

せつないんだろう…?



音楽室からきこえてきた“桜木純也のピアノの音”


クラッシックみたいな…違うような曲...


誰かを想ってる…?



音楽室の前…

入れない…




何でかな…涙がとまらないのッ…


すごく……………


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