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“黒き眠り姫”ことルキリアの眠る森。
先ほどのユウガと緋友の戦闘は李空に止められて終わり、今は皆で(表向き)仲良く茶を飲んでいる。

「それにしても、あなたがルキリアさんのひ孫だということには驚きましたわ」

リオンはティーカップを置いて緋友に話し掛けた。それに対して緋友は嫌そうな顔をすると視線を棺に眠るルキリアに向けた。

「ルキアもそうだけど...」

「何!?」

ユウガは危うくカップを落としそうになった。
緋友の発言に驚いたのはリオンとユウガだけだ。李空はすでに知っている。
緋友はウザいと視線を2人に向けると、席を立ってルキリアの眠る棺に近付いた。
そして、ルキリアに話し掛ける...まるで、はたから見ると独り言のように。

「ねえ、あの人達ウザいんだけど...どうにかしていい?」

「えー何で?それにルキアもさ、嫌いなんだけど」

会話はまだ続いているようだ。
眠るルキリアに話し掛けて、会話をしているらしいその状況にリオンとユウガは驚きを隠せない。

「ああ、お前らは見るの初めてか...緋友だけできるらしいぜ?ルキリアとテレパシーの会話」

「それは本当ですか?マジシャンの中でも彼は優秀だと聞いています」

感心しているリオンに対して、ユウガはそういう問題かよと呟いた。
すると当然、緋友はかなり嫌そうにこちらへと戻って来て言った。

「あんたってルキリアの次の女王なんだって?」

「はい、そうですわ。」

ニコッと笑ったリオンと、彼女の前に出て緋友に警戒をするユウガ。
再び睨み合う緋友とユウガ...そんな彼らにまたかと呆れたのは李空だ。

「本当にかなり嫌なんだけど、ルキリアの頼みだから聞いてやるんだけどさ...」

ーーールキアのナイトやってやるよ

リオンがルキアのナイトに選んだのは3人。
素直にナイトの任を受けたあの2人と、今ここでその任を受けた緋友。
だが実際は、女王が決まれば必然的にナイトも決まるのが、いつしかこの星の理である。
ナイトも女王も関係ない。
決まれば逃げる事は許されない。








それでも...











“黒き眠り姫”、ルキリア...彼女だけが

この(歪んだ)星の真実を知る

現在唯一の存在



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