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女王の間。
そこには、ずっと変わらずに上座に位置する孤高の玉座に無表情で座る女王ルキア。
そして下座に1人、壁に寄り掛かってナイトとして女王のルキアを心配しているライキの姿があった。

「ルキア...もう、星の意思に心のすべてを蝕まれてしまったのか?」

ルキアが女王の玉座について、自分がナイトの任を受けたあの日からどれくらいの時間が経っただろうか。
気が付けばライキはこうして、ナイトの執務の合間を見付けてはルキアの様子を見に来て心配しているのだ。
はじめは、星の意思に心を蝕まれても強気に抵抗していたルキアだが...今ではもう、心を痛んだ涙すらも流す事ができなくなっている。

「くそっ...俺にはナイトとして何ができるんだ!!」

感情に任せて後ろの壁を殴り付けたライキ...衝撃で壁が凹み、メキメキッと亀裂が走り一部が崩れ落ちた。
種族が鬼のために力を加減しなければ、壁どころか建物でさえも壊してしまう。最悪、同族もこの星に共存する別の種族達も、命あるものを簡単に殺してしまう力である。

「俺はナイトとして役に立たないのかよ...!?」

感情に任せて再び壁を殴り付けるライキだが、壊れた壁はすぐにもとに戻る。
この城には特殊な事が多くあり、女王を世界の声から守る結界と同様に聖域内部がどれだけ破壊されようとも、もとの完全な姿に戻るのだ。
一般的にも人間が進化した種族であるマジシャンの霊力や魔力の類いだと思われがちだが、この城は彼らが生まれる遥か昔から存在しているのだ。それに、マジシャンの者がこの聖域に足を踏み入れると解るらしい...まるで、鬼とヴァンパイアを掛け合わせたような能力の漂う場所だと。

「あなたも暇な方ですね、わたしのルキアの様子はどうですか?」

突然かけられた声。相変わらずの変態...秋斗の“わたしのルキア”発言はいつもの事のためもう気にしない。
取り乱していても秋斗が女王の間に入って来たのが分かっていたライキは、いつものように答えた。

「特に変わった様子は無い」

「そうですか...泣いてもいないようですね」

素っ気なくライキに返事を返すと、秋斗は女王の玉座に座るルキアを心配そうに見詰めていた...。
彼の横顔にもライキ同様にルキアを守れない自分を責める思いが表れている。

「ユウガの言った通り、ナイトはキツいな...」

「だが、ナイトでなければ女王を守れない...!」

ぐっとルキアを星の意思から守れない悔しさを堪えながら、2人は女王を守るナイトの先輩であるユウガと魁人の言葉を思い出していた...。


ユウガとリオンが城を後にした日。
彼らは別れ際にこう言っていた。

「覚えとけ、ナイトとして女王を守るために必要なのは_____」

「彼女を好きになることだ」

突然現れた魁人は、ユウガからセリフを取り上げた。
セリフを取られたユウガは少し怒ったが、リオンの見ている前なのでケンカは始めない。これはリオンに悲しい顔をさせないための2人のルールである。


そして、もうひとつ























ーーーナイトは魔王から姫を守る


この暗闇の星には、“女王を支えるナイト”が一般的に語り継がれているが...他にもうひとつ別のナイトの物語が存在する。



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