みゆきちゃんは餌付け上手



 朝食を抜いてダイエットだなんだと抜かす女子がいる。正直、あり得ない。朝ご飯を食べなくていつ昼までのエネルギーを確保すると言うんだ。少なくとも、私には無理だ。朝食も食べずに昼までの授業を乗り切ることなんて。

「(お腹すいた‥しぬ‥‥)」

私はこのまま死ぬのか。ただ寝坊した、それだけの理由で。気分も落ち込みぐったりと机に項垂れていると、頭に硬いものが飛んできた。この方角、御幸だな。
ギロリと渾身の殺意で睨んでやるものの、御幸はそんなこと気付いてないとでも言わんばかりに何かを指差していた。そう言えば、何投げてきたんだこいつ。

「‥‥‥あ」

キャラメルだ。その存在に気付いて上体を起こすと、また数個キャラメルが飛んできた。おそるおそる御幸の方を向いてみれば、御幸は何食わぬ顔で授業を受けている。

「(‥‥おいしい)」

あとで何を請求されるやらわかったことではなかったけれど、腹が減っては戦はできぬと言うし、私は素直に御幸のキャラメルを完食した。こっそりと「ありがとみゆきちゃん」とご丁寧にハートマーク入りでメッセージを送ったら、「きもい」とだけ返ってきた。



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