山奥にあるショコラトリーをクラスで貸し切って、小さなチョコレートパーティが開かれていた。菓子類の持ち込み禁止、つまりバレンタインが禁止されているうちの学校の生徒を可哀想に思ったらしいうちの担任が、知り合いのショコラティエに頼んでこんなイベントが実現したらしい。タダでチョコレートが食べられるだけあって、イベントは大盛り上がりだった。
室内はチョコレートの周り以外は暖房が入っていて温かく、少しぼーっとしてしまう。手に持っていた最後のチョコを口に入れたと同時に、隣の獅子王が手を握った。
「な、外行こうぜ!そこから俺ん家見えるんだ!」
「俺ん家?」
そういえば、前に山の方に住んでると聞いたことがあったかもしれない。
獅子王とは中学からの付き合いだけれど、家に行く機会は特になくて、知らなかった。頷いて手を引かれるままについて行けば、バルコニーへたどり着いた。
「星、綺麗だね」
「そうだな。でも、俺はもっと綺麗に見える場所を知ってるぜ!」
「もっと?」
「ああ。じっちゃんに教えてもらった、秘密の場所があるんだ!」
バルコニーから遠く離れて真っ黒にしか見えないそこをしっかりと指差して、獅子王は歯を見せて笑った。お互い小指を差し出して、次にあった時にそこへ行こうと約束を交わした。そのまま絡めた指に相反して、暖房で温かくなっていた体は、外の夜風に当たって冷えていった。
→
ALICE+