僕は妹が好きだ。家族愛などではなく、一人の女性として、性的対象として好きだ。妹は人見知りであまり友達がいなかったけれど、兄である僕には、僕が妹にメロメロになってしまうくらいに甘えてくれるのだ。それが僕にとっては唯一の自慢であり、悩みだった。なぜなら、僕達は兄妹だったから。

「ずっと好きでした、付き合ってください」

放課後の校舎裏、呼び出された場でそう告白をされた。きっとこの子は、素直で真面目な子なんだろうな。そう言えばどことなく妹に雰囲気が似ている。いい加減、将来ずっとそばにいられるわけではない妹と、妹離れしなくてはいけない。そんな風に思った僕は、少し悩んでからわかったと呟いた。瞬間、目の前の少女は泣き始めて、嬉しそうに顔を赤らめていた。

「泣かないで。ほら、一緒に帰ろう。送るよ」

妹とは一緒にいられない。それは、妹が妹だから。この世で一番大切な妹だけれど、妹とは添い遂げられない。この思いは、どうにか消し去るべきなのだ。こんなに想っていても妹は僕の想いにちっとも気付かない。当然だ。だって僕は兄なのだから。告白してきてくれた彼女と手を繋いでそのまま校門へ向かった。あれ、そういえば。この子、名前はなんて言うんだろう。





「お兄ちゃん」
「ん?どうしたんだい、なまえ」

部屋で本を読んでいると、泣き腫らしたような顔をした妹が部屋へとやってきた。すぐに大丈夫か、何かあったのかと声を掛けるものの、妹は一言も言葉を発しなかった。僕にも言えない悩みなのだろうか。そんな風に慌てていると妹はようやく言葉をこぼした。意味がわからない、と。

「どうして付き合うの」
「告白されたからだよ」
「なまえのことはどうでもよくなったの」
「そんなことない、僕はなまえが世界で一番大好きだよ」
「じゃあどうして付き合うの」

告白現場を見ていたらしい妹に淡々とそう言われ、僕は思わず妹を抱きしめて、よしよし、と頭を撫でた。ああやっぱり駄目だ。僕は一生妹から離れられない運命なのだろう。こんなに兄を慕ってくれる妹を置いて他にどんな女性を愛せるだろうか。

「ごめんね。やっぱり、付き合うのはやめにするよ」

その言葉を待っていたとばかりに妹が僕にしがみついた。僕の世界で一番大好きで大好きでたまらない妹。きっと、僕の持っているこの欲深くて汚い感情なんて、君は知りもしないのだろう。

一緒にお風呂に入るたび、露わになる白い肌に何度自分のものだという証を刻みつけそうになったことか。一緒に布団に包まるたび、何度理性を保つことを諦めて欲望の赴くままに君を犯してしまおうかと考えたことか。胸を揉みしだいて、舌を這わせて、はしたない水音を部屋に響かせてしまえたら。何度も突いて、呂律が回らなくなるまで果てさせてやれたらと。けれど、僕はたった一人の兄だから。穏やかに微笑む寝顔を見るたびに、そんな気持ちも薄れてしまう。ああどうせなら、君と兄妹じゃなければよかったのに。そしたら、妹だからなんて悩まずに、兄としての生温い感情なんて抱かずに、なまえと結婚できたのにな。

「お兄ちゃん、だいすき」

そう言われて僕は、もう一度優しく頭を撫でてから、妹に触れるだけのキスを落とした。


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