「はん、惚れたか」

ずばりと核心をついたような発言に、大袈裟に肩を揺らす。おそるおそる友人の方を向けば、にやにやとやけに崩れた顔をしている。

「別にそういうわけじゃ‥」
「隠さなくてもいいって!」

どれだけ否定しても力の無い返事ばかりが帰ってくるので、私は机にうなだれた。
私が先生を好き……か。
正直、好きかどうかはわからない。ただ、先生のことが頭から離れないだけで。きっと、そういえば友人はそれが恋だよだとか丸め込んでくるから、言えないけれど。

「(でも、気になるのは気になるんだよね)」

あの人はいったい誰なのだろう。本当に生きている人なのかな。もしかしたら、私が見ている幻覚なのかもしれない。保健室を通るたび中を覗いてみるけれど、以前友人の言っていたとおり、女の先生の姿しか見えないのだから。
保健室の匂いは確かにするのに、あの人の姿が見えない。あの人は本当に、保健室の先生なのだろうか。この答えは、もしかしたらいいえかもしれない。

じゃあ、あの人は誰?


「というかそんなことよりさ、なまえ昨日のテスト悪かったんじゃないの?勉強しなくていいの?」
「…あ〜〜もう忘れてたのに……!」

脳裏で「勉強、もう少し頑張った方がいいぜ」と言った先生の顔が浮かんだ。先生は確かに優しい顔をしていたけれど、笑っていた。…そう、私のテストの点数に。
いくら試験に関係のない模擬テストだからと言って、模擬でこれでは、本番の結果なんて見えているも同然だ。


「先生に笑われたくないしね…」
「? まあ、そうだね」

きっと本当の意味は伝わっていないだろう友人の顔を横目に、私は早速今日の放課後から図書室に通うことを決意したのだった。


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