黄昏の旅立ち
修行の旅に出たいという申し出を、主は一寸の迷いなく快諾した。どうやら今まで短刀や脇差達の修行の申し出を断っていたのは、もし修行に旅立たせるなら、最初の刀は山姥切国広、と決めていたかららしい。
あんたが審神者になったその日から共に過ごしてきたとは言え、写しの俺に期待をしすぎではないか、と思わなくもなかったが。
修行道具一式を手渡され、こんなにも簡単にことが進むものかと内心驚くものの、少なくとも、この三年で主のことは大体理解している。多くは語らずとも、俺と主には確かな信頼がある、ということなのだろう。
それが少し、誇らしい。
「行ってくる」
「いってらっしゃい!」
ーー見えなくなるまで手を振っていると、だんだんと太陽が沈み始めていた。夕陽が沈むとともに、山姥切国広が消えてしまう気がして、どうしてもその場から動くことができなかった。
「おーい主、いつまで外にいんだー?」
近侍の獅子王から声がかかる。もう、何分こうしていたのかわからない。もしかすると、わたしがひどく一刻一刻を長く感じてしまっていただけで、実際はそんなに経っていなかったのかもしれない。
そう思うと、もう、我慢などできるはずがなかった。
「……ししおうちゃん」
「ん?」
「ちょっとだけ、ないててもいいかな…」
「…おう、ちょっとだけな」
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