美しい金髪が、月夜の下で煌めいていた。肌は透き通るように白く、伏した睫毛も長くて愛らしい。空を見上げる様子はいやに儚げで、誰だかわからないのに側にいたくなるような感情にさせられてしまう。細くて綺麗な指が髪の間を通って、波を立てた。揺れた髪が、まるで星のようにきらきらと輝いていた。
「………なまえ?」
「、え……獅子王、くん?」
驚いて彼に駆け寄って、上から下までじっくりと舐め回すように見て、ぺたぺたと触った。透き通るような綺麗な灰色の目も、子供みたいにあったかい体温も、獅子王くん、そのものだった。
「………獅子王くんだ」
「ははっ俺じゃなきゃ誰なんだよー!」
いたずらっ子のように口を横に広げて笑う姿は、とても可愛らしい。先程の消え入りそうな美しい人は、もういなかった。獅子王くんは風呂上がりなんだ、と言うと、軽く髪を結んでしまった。ああっ、もったいない。
「なんだよ、残念そうな顔して」
「だって、獅子王くんの髪が綺麗だったんだもの」
「? 綺麗だと、残念なのか?」
話の噛み合っていない獅子王くんにくすくすと笑いながら、触ってもいいか尋ねてみる。何も考えていないであろう獅子王くんが即答して、私はそっとその髪に手を絡めた。きらきら、している。私のての中で、獅子王くんのお星様みたいな髪が、きらきら、輝いている。
「獅子王くんは月か星の王子さまだね」
「おうじ?」
「強くて偉くて、かっこいいってことだよ」
「そっか!格好いいのか!」
納得したらしい獅子王くんは戦隊もののヒーローみたいにポーズをとっている。何か勘違いしてる気がするけど、まあいっか。
「あ。あのさ、なまえ」
「うん?」
「俺はお前の方が綺麗だと思うぜ!」
獅子王くんの髪からお花みたいな匂いがする。そういえばお風呂上がりなんだっけと思考を働かせているうちに、獅子王くんはそのまま手を振りながら夜の闇に溶けてしまった。
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