「お邪魔しまーす」
「鳴くん、いらっしゃい」
「‥‥今日で最後だね」
「そうだね、あっという間だった‥」

敬語事件があったからおそるおそるタメ口で話しかけてみたけど、どうやら昨日で満足していたようだ。
‥‥相変わらず机は2つあるけど。

「それでさ、ご褒美のこと考え直してくれた?」
「‥‥冗談は、」
「冗談なんかじゃない。本気だよ、俺」

目の前でなまえさんのシャーペンを動かす手が止まる。‥動揺、してくれてる?

「だから、先輩をからかうのはやめなさいってば‥!」
「またすぐそうやって逃げる。ひとつ違うだけでそんなに嫌?そんなに頼りない?俺は‥‥」
「鳴くん、勉強に集中しないなら‥」

なまえさんが怒ったようなフリをする。なまえさんはわかりやすいから、そんな演技をしたってバレバレだ。

「俺はなまえさんが好き。大好き。この前もそう言ったでしょ」
「‥、それは」
「‥‥先輩ならさ、後輩の気持ち正面から受け止めて、ちゃんと断ってよ」

なまえさんは俺と目を合わせようとするしない。何時間にも思えるような沈黙が続いて、俺は呆れたようにため息をひとつ吐いてから「帰る」と教室を出た。


[ top ]

ALICE+