「フットのためにマフラーを編むからね!」

「お前なあ、俺たちにはそんなものは要らねえんだよ」

「じゃあフットが編んでよ!」

カオは冗談で言ったつもりの言葉であったが、一人編み物に苦戦するアイアンリーガーがここにいる。

ゴールドフットだ。

「なあフット兄貴、本当に編んでやってるのか?」

「ま、ただの暇つぶしだ。あいつら人間は寒さにめっぽう弱いしな」

この時ゴールドマスクは、暇つぶしならサッカーをすればいいと思ったし、兄貴はちっとも素直じゃねえと思っていた。

「きっと喜ぶぜカオさん」

「あいつ寒いの嫌いだって言ってたしな」

「いいや、フット兄貴からもらえるならなんでも嬉しいと思うぜ」

カオさんは兄貴にベタ惚れだから。
そう言うと、心なしかフットの顔が赤くなった。

「変わった奴だぜ本当に」

あきれているように言いはするものの、フットの手は着々とすすんでゆく。

マスクは知っていた。このマフラーの毛糸もフットが選んだものだと言うことを。
店で直接は買わなかったようだが、それでも選んだのはフットである。

「青色、カオさん好きだもんな」

「もっと女らしい色好きになれってんだよな」

「青は兄貴の色だからだろ」

「だ、う、うるせーマスク!気が散る!アームの兄貴のところにでも行ってろ!」

フットにつまみ出されたマスクは、本当に兄貴は素直じゃないなと心の中で思っていた。


そしてマスクは興味津々に、マフラーを渡す日にフットの後をつけた。

「本当に編んでくれたの?私に?」

「暇だっただけだって言ってるだろ!」

「嬉しい」

「嬉しいのに何泣いてんだよ!おい、どうしたんだよ!」

オロオロとする兄を初めて見たマスクはつい笑ってしまった。
フット兄貴はもっと素直になって欲しい、そう願うばかりのマスクだった。